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大学短歌バトル、歌壇の将来担う 現代版の歌合、今年で5回目

3人の「判者」が「獏短歌会」の歌に旗を挙げ、優勝が決まった

 大学対抗で短歌の勝敗を競う「大学短歌バトル」(角川文化振興財団主催)が今月、東京都千代田区の「神楽座」であった。所属の学生が短歌の賞を受賞するなど、大学短歌会の存在感が増した中で企画され、今年、5回目を迎えた。
 「短歌バトル」は平安時代から行われている歌合(うたあわせ)の現代版で、3人でチームを組み、2組が対戦。今年は18チームのうち、予選通過の8チームが本戦に進んだ。各戦では、「方人(かたうど)」が題に沿って前もって詠んだ自作を読み上げ、「念人(おもいびと)」(評者)が1分半で自チームの歌の魅力と相手の欠点を述べ、「判者(はんじゃ)」(審判)の判定を有利に導く。
 今年の優勝は「獏(ばく)短歌会」。国学院大4年の乾遥香さんが、北海道大4年の初谷むいさん、日本大3年の武田穂佳さんを誘い参加した連合チームだ。3年連続決勝戦進出の岡山大学短歌会を下した。優勝決定時の対戦では、歌人の栗木京子さん・穂村弘さん・小島なおさんの判者全員が獏短歌会の武田さんの歌「はじめての自転車姿何枚も撮る 恋がまだ元気なうちに」を勝ちとした。
 第1回から判者を務める穂村さんは「初めは判者が自分だけ。判定や判詞(はんじ)(判定の理由や感想)もすべて1人でたいへんだった。5年間で水準は格段に上がった。念人の評で判者の考えが変わったり、攻撃がじつは相手の長所を浮かび上がらせていたり。そのダイナミックさがおもしろい」とこの5年を振り返る。
 バトルの模様は「ニコニコ生中継」で配信され、約1万2千人が視聴した。若い世代に短歌の面白さをアピールするイベントが、歌壇の将来も担っている。(岡恵里)=朝日新聞2019年3月20日掲載