性別や働き方など「多様性」が叫ばれるが、理想と現実の落差は大きく、具体的にどうすればいいのかというと、難しい。
その点、コラムニストで作詞家のジェーン・スーの対談集『私がオバさんになったよ』では、参考になる言葉や考え方に出会った。漫画家・海野つなみとの対話では「他人に対する干渉を減らすことが多様性の第一歩」。文筆業の能町みね子とは、主夫と暮らす者同士で、女性が言いがちとされる言葉が実は「性別と全然関係してない」ことを確認する。こういう風になら考えられる、こんな言葉でなら話せる、と思う。
読み終えると、90年代のヒット曲をもじった書名が違った響きを持ってきた。私の固有性と、性別や年代といった属性、時間の経過、他者への呼びかけといった意味が、あのメロディーに乗ってあふれてくる。「本のタイトルは犬笛のようなもの」と著者は言う。「届いて欲しい人にしか聞こえない周波数のようなものがある」と。世代も境遇も違うけど、僕の耳にもそれは届いた。(滝沢文那)=朝日新聞2019年5月18日掲載
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