安くておしゃれな服。24時間何でも買えるコンビニ。そんな“豊かさ”の代償について考えさせられる書である。
売れ残った服が集まる倉庫、古着のリサイクル工場、廃棄された恵方巻きなどを飼料に加工する工場――女性記者による現場ルポは、大量生産・大量廃棄社会の現実を描き出す。個々の取材の断片をつなぎ合わせて浮かび上がるのは、大量廃棄を前提としたビジネスモデルの功罪だ。
原価を抑えるため、アパレルは売れ残り覚悟で人件費の安い国に大量発注する。コンビニでは、本部の取り分を増やし、「販売機会ロス」を避けるため、店舗側に多めの発注を求める。なんという無駄だろう。その無駄の裏で、低賃金の長時間労働や地球環境への負荷といった無理が生じていると本書は指摘するのだ。
新聞連載を元にしているせいか、本としての統一感にやや欠けるが、問題提起の役割は果たしている。拡大する中古市場の負の側面、リサイクルしにくい化学繊維の増加など、循環型社会に向けての課題には特に学びが多い。年に10億点もの服が新品のまま廃棄され、毎日1人あたりお茶碗(ちゃわん)1杯のご飯が捨てられる。そんな社会を変えるため、自分ごととして捉えたい。=朝日新聞2019年6月1日掲載
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