江戸幕府が日米修好通商条約などで欧米列強に開港を約束した五つの港のうち、最後に開港した新潟。数奇な運命をたどった実像を、1869年1月(明治元年11月)の開港から150周年を迎えたのを機に紹介する「開港場新潟展」が新潟市の市歴史博物館(みなとぴあ)で開かれている。
新潟が開港地に選ばれたのは、列強が日本海側にも設けるよう主張したことに加えて、幕府が、地元の長岡藩から、抜け荷(密輸)の取り締まりが不十分などの理由で、新潟を取り上げて直轄地にしていたことなどが理由とみられている。
しかし、新潟港は港口の水深が浅く、冬には強い北風と荒波にさらされるため、外国からの評判は芳しくなかった。展示されている1870年の英海軍測量図などからは水深が浅い同港の様子がよくわかる。
開港までも幕末の動乱に翻弄(ほんろう)された。当初、幕府は開港を慶応4(1868)年3月9日と決めたが、この間に大政奉還が行われて明治新政府が成立。戊辰戦争が始まったため、政府は開港延期を申し入れる。
しかし、プロイセンなどはそれを無視して貿易を開始。貿易商のE・スネルは、長岡藩や米沢藩などの奥羽越列藩同盟軍の諸藩に新潟で洋式兵器を売却し、戦局に影響を与えた。
展示では戊辰戦争の「越後大戦」を描いた図や、1869年の正式開港後に設置された運上所(税関)の絵図など、約180点を通して開港場新潟の歩みとその後の発展を振り返る。
8月25日まで。8月12日を除く月曜休み。(編集委員・宮代栄一)=朝日新聞2019年7月31日掲載
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