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「ONE PIECE」の悪魔の実、食べるなら飛べる系がいい 走り高跳び・戸邉直人さん(前編)

文:渡部麻衣子 写真:斉藤順子

>戸邊選手が走り高跳びの競技生活について語る後編はコチラ

死にそうなくらいボロボロになってから、更に強くなるゾロが好き

――戸邉さんが好きな漫画として挙げてくださった『ONE PIECE』は週刊少年ジャンプで20年以上連載が続いている大人気作です。

 漫画は普段からすごく読むというわけではないのですが、『ONE PIECE』だけは特別です。僕が小学1、2年生のときにアニメが始まって、それがとても、おもしろかったので漫画も買うようになりました。単行本は1巻から全部自宅にあります。子どもの頃からずっと読み続けている、大好きな漫画です。

――特に思い入れのあるキャラクターはいますか?

 主人公・ルフィ率いる海賊団“麦わらの一味”の剣豪・ロロノア・ゾロです。最近のゾロは強いので、敵にやられてボロボロになることは無くなってきているんですけど、昔は結構死ぬ手前くらいまで追い込まれて、そこでなんかすごい新技を編み出すという場面が多いキャラだった。そういう、逆境を跳ね返すところや、相手に向かっていく姿勢がすごく好きなんです。

©尾田栄一郎/集英社
©尾田栄一郎/集英社

――登場人物たちの成長に合わせて物語の舞台は移り変わっていますが、中でも一番印象に残っているエピソードは、どのあたりでしょうか。

 一番っていうと、アラバスタ編! 砂漠の国のお話がすごく好きです。ストーリー展開も感動的でしたし、敵キャラも敵なのにみんな魅力的に見えた。ゾロも、あの頃はほんとギリギリまで追いつめられてましたよね。全身を刃物に変えられる“スナスナの実”の能力者・Mr.1を相手に序盤は斬られまくるんですが、最後の最後、鉄をも斬れる新たな境地に至って相手を倒す――、という感じで。

©尾田栄一郎/集英社
©尾田栄一郎/集英社

――ルフィの“ゴムゴムの実”を始め、作中では食べた人を特異な能力を持つ能力者に変える“悪魔の実”が多数登場します。戸邉さんは“悪魔の実”を食べたいと思ったことはありますか?

 『ONE PIECE』を読んでいると、やっぱりそれは考えますよね。僕が食べるとしたら、鳥に変身するとか、浮遊できるようになるとか、とにかく空を飛べるようになる実がいいです。自分が跳ぶ競技をやっているからというのもあるんですが、昔から空を飛ぶことへの憧れが強くて! いまJALに所属しているのも、その影響が多分にあります。

大勝負の後のご褒美は肉……ではなく観光

――戸邉さんが競技を始めたのは、『ONE PIECE』を読み始めた小学生の頃。当時から抜群の運動神経だったそうですが、なぜ他の競技ではなく走り高跳びを選んだのでしょうか。

 一番の理由は、最初からある程度跳べたからです。自分がどこまでいけるのか試してみたかった。あと、いいジャンプができたときは一瞬重力から解放されるような感覚が味わえるんですけど、僕は競技を始めたときからその感覚がすごく好きで。高く跳べば跳ぶほど浮遊感は長く感じられるので、それをずーっと追い求めて今までやってきました。

――最高の浮遊感が味わえたジャンプというと……。

 やっぱり、今年2月にドイツの大会で日本新記録(2m35cm)を出したときの跳躍はすごく気持ちがよかったです。走り高跳びは、走ってきて踏み切るときに一度止まって体を上に跳ばすような動きをするんですが、その動作こそ高跳びの一番の魅力で、一番の特徴。走り幅跳びや三段跳びは、助走の勢いをいかに殺さずに前に飛んでいくかという競技なので、浮遊感という意味では走り高跳びほどは感じられないんです。

――麦わらの一味は闘いが終わるとご馳走を囲んで宴を開きますが、戸邉さんは大勝負の後に決まってやることはありますか?

 ルフィたちのようにお肉とかご馳走をたくさん食べるっていうのはしないですね。あっ、でも僕、結構甘いものが好きなのでシーズンが落ち着いたらケーキを食べてもいいことにしています。また自己ベストを出したドイツでは、試合後に観光をしました。試合前に外を歩き回ると疲れちゃうから、大きな勝負の後に街に出るのがルーティーンというか、自分へのご褒美になっていますね。

>戸邉直人さんインタビュー後編はコチラ