第41回講談社本田靖春ノンフィクション賞の贈呈式が12日、東京都内で開かれた。受賞者の松本創(はじむ)さんが、韓国への反感をあおる風潮がある雑誌について苦言を呈する一幕があった。
受賞作の『軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い』(東洋経済新報社)は、2005年に起きた脱線事故の遺族が、事故原因の究明やJR西日本の企業風土の是正のため、同社などと検証を行うに至るまでを13年にわたって追った。
賞は今回から、04年に亡くなった本田靖春の名を冠した。松本さんはあいさつで、時間をかけて試行錯誤する作法は、題材とする事件から10年以上たって発表された本田の作品から学んだ、と語った。
「嫌韓」と呼ばれるような特集が目立っている雑誌にも言及。「時流や強いものにおもねり、分断を広げることが出版社の使命ではないはず。社会にとって普遍的な価値を世に問う書き手を発掘し、応援することを願う」と述べた。(宮田裕介)=朝日新聞2019年9月25日掲載
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