1. HOME
  2. インタビュー
  3. 子どもの本棚
  4. 絵本「おばあちゃん、ぼくにできることある?」インタビュー 英国の認知症介護施設が舞台

絵本「おばあちゃん、ぼくにできることある?」インタビュー 英国の認知症介護施設が舞台

絵本を手にするおびかゆうこさん

 認知症の人が暮らす介護施設で働いていた英国人女性が、5年前に出版した絵本「おばあちゃん、ぼくにできることある?」(偕成社、税抜き1500円)が、今月、日本でも出版された。

 原作者は、施設で子どもの姿をほとんど見かけず、たまに小さな子が来ると、みんなの表情がぱっと明るくなったことから、「認知症や施設を子どもたちに身近に感じてほしい」とこの本を作った。

 主人公オスカーのおばあちゃんは最近、誕生日を思い出せなかったり、靴ひもを結べなかったりして施設で暮らすことになった。

 オスカーが施設に会いに行くと、おばあちゃんには男性の友だちもできていて3人一緒に遊ぶ。おばあちゃんが大好きなサクランボのケーキも出てきて安心する。おばあちゃんがいきなり叫び出して、オスカーはショックを受けるが、パパが大丈夫だよと教えてくれる。オスカーは次第に、できないことを少しお手伝いすればいいだけのことだと気づいていく。

 原作者も訳者のおびかゆうこさん(59)も、言葉につきまとう偏見が子どもたちに伝わらないように、物語では「認知症」は使っていない。巻末では、専門医などへの取材をもとに、症状の説明や子どもにできることの提案も。「温かいイラストを楽しみながら、認知症を知って、家族で話すきっかけになれば」とおびかさんは話している。(山内深紗子)=朝日新聞2019年9月28日掲載