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『「松本清張」で読む昭和史』など、今週注目の新書5選(朝日新聞2019年12月7日掲載)

『「松本清張」で読む昭和史』

 NHKEテレ「100分de名著」の松本清張スペシャルの指南役を務めた著者が、テキストを加筆修正、新章を加えた。『点と線』『砂の器』などを読み解く。未完の遺作『神々の乱心』の結末や、『昭和史発掘』を書いた清張が『平成史発掘』ならばどう書くか、テーマを予想する。
★原武史著 NHK出版新書・880円

『近代建築そもそも講義』

 2015~17年の「週刊新潮」の連載を抜粋、再編集して収録。明治時代、華族が屋敷に増築した洋館は天皇の行幸を仰ぐためのものだった。スリッパは和風と洋風が併存する近代日本家屋の中で普及。東京駅や国会議事堂、旧岩崎邸などについても解説。
★藤森照信・大和ハウス工業総合技術研究所著 新潮新書・880円

『水道が危ない』

 高度成長期に普及した水道管は老朽化し、全国で漏水事故が発生。人口減少で水道料金収入も減る中、水道管の入れ替えなどの大量の更新が必要となっている。本紙記者と岩手中部水道企業団参与の菊池氏が水道事業を持続するための「ダウンサイジング」の方策に迫る。
★菅沼栄一郎・菊池明敏著 朝日新書・869円

『現代美術史』

 「芸術と社会」をテーマに1960年代以降の欧米と日本を中心に、現代美術史を掘り下げた。「民芸」「ダダ」などの社会的芸術運動や、「ブラック・アート」など差別に抗する芸術、日本人画家による戦争画など、様々な角度から紹介。国内外、多ジャンルの作品から解説する。
★山本浩貴著 中公新書・1056円

『日本人は本当に無宗教なのか』

 江戸時代末期までの日本人は「宗教的」だった。転機は明治維新。明治政府は神仏分離令を発し、「廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)」を誘発。この運動で民衆の意識が変化していったという。「無宗教」を、国家神道との関係や、習俗や権力との関わりから解く。
★礫川(こいしかわ)全次著 平凡社新書・924円=朝日新聞2019年12月7日掲載