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隣国の文化を深掘り「韓国カルチャー」など注目の新書5選

「韓国カルチャー」

 「イカゲーム」「愛の不時着」などの人気ドラマや、韓国小説の翻訳ブームもあいまって、隣国の文化に触れる機会がぐっと増えた昨今。さらに深掘りしたいという向きにうってつけなのが本書。現地に暮らすライターが、字幕には映らない韓国の「素顔と現在」を解説する。
★伊東順子著 集英社新書・946円

「俳句と人間」

 「あるとき人間は自分の命もやがて終わることに気づくのだ」。がんの宣告を受けた俳人が、俳句を縦糸に、生と死、時代精神の変遷、民主主義の自滅などを考える。苦しみや悲しみにも満ちた人生を「天の高みから見渡す」芭蕉の「かるみ」と、それがもたらした晩年の姿が印象的だ。
★長谷川櫂(かい)著 岩波新書・946円

「モチベーションの心理学」

 日常会話でも使われる「モチベーション」。心理学では、外的・内的な活動を説明するための広い概念だ。目標や自信との関係、人の置かれた環境などモチベーションに関する代表的理論を紹介。「やる気」「意欲」への理解を深め、達成ばかりに目を向ける風潮に疑問を投げかける。
★鹿毛雅治著 中公新書・1100円

「2050年の地球を予測する」

 環境問題では極端な議論に出合うことが少なくない。生物学者の著者は「行動するな、その前に学んで考えろ」という。対策は利害が絡み、政治や経済と密接に関係する。様々な背景や考え方の一端を示し、今後の選択のために必要な視点を説く。
★伊勢武史著 ちくまプリマー新書・858円

「日本の近代建築ベスト50」

 フランク・ロイド・ライトの自由学園明日(みょうにち)館(東京都)から長谷川逸子の湘南台文化センター(神奈川県)、西沢立衛(りゅうえ)の十和田市現代美術館(青森県)まで、各地の傑作を逸話も豊富に解説。丹下健三ら大御所の作品のほか、立原道造設計のヒアシンスハウス(埼玉県)なども味わい深い。
★小川格著 新潮新書・880円=朝日新聞2022年2月19日掲載