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古代ローマが身近に感じられる「テルマエと浮世風呂」など注目の新書5選

「テルマエと浮世風呂」

 時間も距離も隔たりがある古代ローマと徳川時代の江戸を比較する歴史エッセー。平和な時代が長く続き、人口も同規模だった両都市は、入浴文化や諧謔(かいぎゃく)精神、酒のある暮らし、街道の整備など共通点が多い。人名がややこしく興味が湧きにくい古代ローマが、身近に感じられる。
★本村凌二著 NHK出版新書・913円

「ものがたり戦後史」

 冷戦とは何だったのか。考える手がかりになるのがロシア・ソ連政治史、日ソ関係史の研究者が書いたこの本だ。第2次大戦、冷戦、ベトナム戦争、ペレストロイカ、中国の改革・開放などをバランスよく描く。高校の新科目「歴史総合」の参考書というが、大人にも手にとってほしい。
★富田武著 ちくま新書・1034円

『「シティポップの基本」がこの100枚でわかる!』

 南佳孝、大滝詠一、佐野元春……。1970年代のシュガー・ベイブに始まる「黎明(れいめい)期」から現在の「再興期」まで、日本の名盤を見開きで紹介。選定や評価には読む人で異論も様々あるだろうが、それこそが本書の楽しみ方で、著者の言う通り正解はない。
★栗本斉著 星海社新書・1100円

『「それから」の大阪』

 「密」だからこそ魅力的な街・大阪もコロナに襲われた。東京からの移住者で“散歩コラム”を執筆してきた著者が、万博開催予定地や道頓堀など1年2カ月をかけて歩いた。変わる街で力強く生きる人たちと対話を重ね、大阪の根底にある普遍的なものとは何かを探ってゆく。
★スズキナオ著 集英社新書・924円

「子どもが心配」

 保育園の理事長を長年務めてきた著者が、日頃子どもに接している児童精神科医、小児科医、脳研究者、自由学園学園長と対談。子どもをとりまく環境について語り合う。ネットの過剰利用がもたらす「実体験の減少」、デジタル化以前に「情報とは何か」を考えるべきだ、など示唆に富む。
★養老孟司著 PHP新書・990円=朝日新聞2022年3月19日掲載