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一大プロジェクト“討ち入り”の舞台裏に迫る 「東大教授がおしえる 忠臣蔵図鑑」

 来たる12月14日は、赤穂浪士討ち入りの日。旧暦で1702(元禄15)年のこの日の深夜、赤穂浪士47人が吉良上野介の屋敷に討ち入り、亡君・浅野内匠頭の仇討ちという本懐を遂げました。ひと昔前までは、討ち入りを含む一連の赤穂事件をもとに創作された物語「忠臣蔵」を題材にしたテレビドラマが年末の風物詩のようになっていましたが、最近では少なくなったように感じられます。とはいえ、年末はやっぱり「忠臣蔵」という人におすすめしたいのが「東大教授がおしえる 忠臣蔵図鑑」です。

 本書は、現在公開中の映画「決算!忠臣蔵」の原作である「『忠臣蔵』の決算書」の著者、東大の山本博文教授が監修。一級史料をもとに、かわいいイラストと図版を交えて、赤穂事件の全貌がわかりやすくまとめられています。切腹の作法など、当時の武士たちの価値観や文化がわかるコラムも充実しているので、単なる史実としてだけでなくその背景も深く理解でき、忠臣蔵を全く知らない初心者から忠臣蔵ファンまで楽しめる一冊です。

 興味深かったのが、討ち入りメンバーの選抜方法。人生をかけた一大プロジェクトだけに、失敗は許されません。討ち入りに向けて準備をしていくなかで離脱していく者もいたため、リーダーである大石内蔵助は改めて討ち入りの意志を確認すべく、「神文(しんもん)返し」を行います。すでに受け取っていた神文(起請文)から切り取った血判を同志らに返却。討ち入り計画の中止を伝えたうえで、なお「討ち入りせずには死ねない」という同志だけに真意を明かしたのだそうです。こうして120人ほどいた同志も半数以下の約50人に絞られました。

 そして、一大プロジェクトには強い意志だけでなく、お金も必要です。いまのお金にして約8300万円あった軍資金も、討ち入り直前には尽き果てていたんだとか。最終的にはおよそ90万円が不足し、内蔵助が身銭を切ったといいます。

 本書の最終章では、赤穂事件の舞台となったスポットも紹介。この冬、赤穂浪士47士に思いを馳せながら巡ってみてはいかがでしょうか。