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古から現代まで、小中学生に届けたい歌 「はじめて出会う短歌100」、ジュニア賞も創設

千葉聡さん

 小中学生に真っ先に届けたい歌を集めた『はじめて出会う短歌100』(短歌研究社発行、講談社発売)が発刊された。奈良時代の「万葉集」から現代短歌まで百首を収録。歌の解説や作者紹介も盛り込み、大人の入門書としても最適な一冊だ。

 「家族を思う」「あこがれの世界へ」などテーマに沿って8章に分かれ、〈修学旅行で眼鏡をはずした中村は美少女でした。それで、それだけ 笹公人〉といった現代短歌と古(いにしえ)の歌が隣り合わせに並ぶ。

 編集し、解説を書いたのは横浜市立桜丘高校教諭で歌人の千葉聡さん(52)。「この本を入り口に短歌を味わい、自分の言葉で一首を詠むきっかけになれば」と話す。「つらいことがあっても短歌を詠めば、思いは誰かに届く。成果や効率が求められるなか、短歌という表現手段を持てば、評価軸から離れて人とつながり、認め合うことができる」と考えている。

 「短歌は心の自由を守ってくれる」と、進路指導室前に小さな黒板を置き、毎朝一首、紹介して9年になる。生徒に語りかけるように、本書を執筆した。

 出版を機に、版元の短歌研究社は短歌研究ジュニア賞を創設した。幼児を含む小学生、中学生、高校生の3部門で短歌を募集中だ。未発表作品に限り、一人3首まで。作品、住所、氏名、学年、年齢、電話番号を記入し、〒112・8652 東京都文京区音羽1の17の14、音羽YKビル 短歌研究社「短歌研究ジュニア賞」係に郵送。第1回の締め切りは10月31日。(佐々波幸子)=朝日新聞2020年10月7日掲載