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山崎正和さん追悼文、60人以上掲載 サントリー文化財団、雑誌「アステイオン」別冊号

 サントリー文化財団が企画編集する雑誌「アステイオン」(年2回刊)が、財団創設にかかわり昨年8月に亡くなった劇作家・評論家の山崎正和さんを追悼する「別冊アステイオン それぞれの山崎正和」を出した。政治学などの研究者、演劇やメディア関係者など60人以上が追悼文を寄せ、様々な視点から人物像が描かれる。

 プロローグ、エピローグと「創作者」「思索家」「参加する観察者」「知の演出家」という4章で構成。演劇、思想史、政治とのかかわり、文化政策への注力といった側面に光を当てる。代表作「世阿弥」の直筆原稿、交友の場などのカラー写真、年譜なども掲載されている。

 政治学者の御厨貴さんは、佐藤栄作など歴代首相や政府審議会との関係を「“反政治”や“半政治”の態度は見られず、“汎(はん)政治”を面白がる精神に貫かれていた」と評する。サントリー学芸賞の選考委員を務めるフランス文学者の鹿島茂さんは、日本学術会議をめぐる問題を念頭に、山崎さんを「新たなアカデミズム共同体を構想していた」「文化制度設計者」だったとみる。文芸評論家の三浦雅士さんは「山崎正和の最大の作品はサントリー文化財団にほかならない」と述べている。(大内悟史)=朝日新聞2021年1月13日掲載