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メンタリストDaiGoの人を動かす「超影響力」 人づきあいを楽にし、自分らしく生きるための技術

あなたの悩みを解消する「超影響力」

 本書のタイトルとなっている「超影響力」はDaiGoさんの造語で「説得力と影響力を組み合わせ、人々の行動を促す技術」のことです。世の中の「カリスマ」「インフルエンサー」「人たらし」といわれる人たちは、本人が意識するしないに関わらず、このテクニックを使っています。そして特別な才能がなくても、この「超影響力」について学び、日頃から意識するだけで、その人の人間関係は大きく変わるとDaiGoさんは言います。

 実はそのことを証明しているのがDaiGoさん自身です。現在、メンタリストとして活躍している彼は、自身を「『コミュ障』に近い内向的な性格」だと告白しています。本書では、場の空気を読まず、「こうだ」と思ったことは言わないと気がすまない性格が災いし、激しいイジメにあっていた小中学校時代のことが綴(つづ)られています。そんなつらい毎日を送っていたDaiGoさんはある事件をきっかけに、自分の本質は変えなくても、見た目や表現方法に気を配ることで周囲の評価が変わることを知ります。それから心理学、統計学、行動経済学、脳神経科学などを徹底的に学び「超影響力」についての研究を重ね、周囲を動かす影響力を持つに至ったのです。

 「超影響力」を知らない人は普通、目の前の相手に合わせてコミュニケーションをとります。その結果、自分が望んだ反応が得られず、逆に自分が誰かに指示されるばかりで、ストレスや不満がたまります。「超影響力」をもつ人は、常に主体的に他者へ働きかけ、相手が自分の望むかたちで反応してくれるよう促します。おのずと多様な分野で力をもつ人が集まり、強固な人間関係を築けます。人や集団を自由に動かせるので、経済的な豊かさも得やすくなります。苦手なことは人に頼めるようになるため、より多くの時間と自由が手に入ります。このように「超影響力」を身につければ、今、抱えている悩みが解消され、自分の人生をより上手に操れるようになるとDaiGoさんは言います。

歴史上使われてきた「人を動かす」技術とは

 本書で紹介されている内容のコアな部分は、歴史的に欧米の政治家たちが使ってきた「大衆扇動」の手法です。そもそも「メンタリスト」とは、政治家のブレーンとして演説原稿を用意し、効果的な語り方や身振り手振りをアドバイスし、大衆の心を動かす手助けをしてきた人のことなのです。「大衆扇動」という言葉にはダークなイメージもありますが、歴史のなかで研ぎすまされてきた普遍的な技術であり、上手に使えばコミュニケーションを円滑にすることができるのです。

 例えばDaiGoさんは、人に影響力を及ぼすうえで最も大事なのは「信用」と「関係性」だと言います。人は信用しない相手の話には耳を傾けず、自分には関係ないと思う話には興味を示しません。よって、まずは相手と信頼関係を結び「これから話すことはあなたと関係していて、こう役立ちます」と伝えることが何より大事なのです。とはいえ通常、人との信頼関係を築くには時間がかかります。そこで本書では、効率的に相手の信用を得て関係性を強調する技や、説得力や影響力を高める話の組み立て方なども紹介しています。

悪用厳禁! 応用テクニックを知り自分を守る

 最終章では人々の欲望や恐怖心、無知や誤解を利用して心を動かす黒いテクニックにも触れています。これらは歴史に名を残す政治家や独裁者、経営者、宗教指導者たちが群集心理をコントロールするために使ってきたものです。DaiGoさんは悪用厳禁と釘をさしたうえで、このテクニックをよい方向に使えば、人間関係を楽にしたり、周囲への影響力を高めたりすることができると言っています。またこのようなテクニックを知っておけば、自分自身が権力者やメディアによる扇動に踊らされず、自分や大切な人を守ることもできるでしょう。