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「戦後教科書運動史」書評 「生き字引」が記す重要な問題

評者: 本田由紀 / 朝⽇新聞掲載:2021年02月27日
戦後教科書運動史 (平凡社新書) 著者:俵義文 出版社:平凡社 ジャンル:新書・選書・ブックレット

ISBN: 9784582859638
発売⽇: 2020/12/17
サイズ: 18cm/445p

時の権力によって度重なる攻撃にさらされた戦後の教育制度と教科書。検定制度を世に問うた「家永教科書裁判」から教育基本法、道徳教科化、学習指導要領、採択問題まで、教育と教科書…

戦後教科書運動史 [著]俵義文

 半世紀以上にわたりライフワークとして教科書問題に取り組んできた「生き字引」である著者が、戦前の国定教科書から最新の学習指導要領まで、重要なトピックをなで斬りにしたものが本書である。その分厚さは、著者の人生そのものを映し出している。
 著者によれば、大学の教職課程では教科書の歴史やしくみについてほとんど教えられていなかったため、いくつかの大学で非常勤講師として教鞭(きょうべん)をとるようになったことが本書をまとめる契機になったという。
 現職の教員も、教員を目指す人も、日々の学校現場での営みから切り離せない教科書が日本でどのような現状にあるのかを知らないで良いわけがないだろう。
 直近の関心からは、教育基本法の変更について取り上げた第11章から、著者の提言をまとめた第15章までだけでも読むべきである。日本の教科書が、世界でも例をみないほど遅れた制度であるという記述が持つ意味は、この上なく重い。