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「友人の社会史」書評 「友だち」とはどんな存在なのか

評者: 本田由紀 / 朝⽇新聞掲載:2021年03月20日
友人の社会史 1980−2010年代私たちにとって「親友」とはどのような存在だったのか 著者:石田 光規 出版社:晃洋書房 ジャンル:社会学

ISBN: 9784771034327
発売⽇: 2021/02/16
サイズ: 19cm/208,4p

身近な存在か、理想化された幻想か。私たちにとって「親友」とはどのような存在だったのか? 1980〜2010年代の新聞記事に表れた「親友」分析を通じて、「友人関係」に向けら…

友人の社会史 1980-2010年代 私たちにとって「親友」とはどのような存在だったのか [著]石田光規

 「友だち」(と呼ばれているもの)とは何か。本書は、その語られ方が、長期的にどう変化してきたのかを、「親友」という言葉を含む新聞記事を主なデータとして検討している。
 膨大な数の記事の内容や発話者を分類し、数量的に分析した結果、90年代には増加した「生活報道」の記事が今世紀に入ると減少し、代わって「文化・芸術・芸能関連」とりわけ「フィクション」と、「スポーツ関連」とりわけ「高校野球」や「オリンピック」に関する記事が増加する。著者はこの動向を、「親友の物語」性の拡大と呼ぶ。
 投書欄や「人生案内」欄などをさらに詳しく分析した結果からは、一方では「物語性」の拡大についての裏付け、他方では友人との接し方の悩みや不安が若年層を超えて広がっているという知見が得られている。
 「孤独・孤立」への対策が叫ばれている現在、「友だち」の幻想と現実の落差に気づいておくためにも、お勧めの本。