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「新型コロナ データで迫るその姿」書評 現状を具体的に解説

評者: 保阪正康 / 朝⽇新聞掲載:2021年05月15日
新型コロナデータで迫るその姿 エビデンスに基づき理解する (DOJIN選書) 著者:浦島 充佳 出版社:化学同人 ジャンル:自然科学・科学史

ISBN: 9784759820638
発売⽇: 2021/03/15
サイズ: 19cm/279p

死亡リスクを上げる因子、世界の死亡率格差が大きい理由、ワクチンの有効性、効果が期待される治療薬…。国内外のデータや医学論文を徹底的に分析し、新型コロナの全体像を詳細に描き…

「新型コロナ データで迫るその姿」 [著]浦島充佳

 新型コロナの大状況を、専門家が丁寧に説いた解説書だ。個人がどう対応すべきかを考えるのに役立つ。
 マスク、手洗い、換気といった予防の中で、特に換気が重要であるとの見方が示される。さらに、高齢、生活習慣病、肥満などのケースの死亡率の高さを図を用いて解説していく。
 「本格的な医療崩壊」に関する説明を読むと、日本の医療は崩壊状態に陥っていると言わざるを得ない。治療薬を巡っては「グローバルな臨床試験の連帯が形成されつつある」中で「日本はその仲間に入れていない」との指摘に驚かされる。
 日本はG20の中では死亡率は低いが、東アジア・太平洋地域22カ国の中では5番目に高い。その分析は、長寿や医療制度などコロナ後の社会のあり方を世界史的に問うことになろう。
 専門家の知見をいかに活用するか、キューバ危機でのケネディ大統領の対応を紹介している。こういう政治家の人間観が必要とされるとの見解に納得させられる。