ライオンVS.トラ、カブトムシVS.クワガタムシ。いつの時代も子どもたちは、生き物の対決を夢見て、こう聞く。「どっちが強い?」と。
KADOKAWAから7月、学習漫画「どっちが強い!?」シリーズ『どっちが強い!? ミズダコvsノコギリエイ 海底忍者の大一番』が刊行された。「もし、○○と△△が対決したら……」という素朴な想像に応えて、生態を紹介する。シリーズは累計290万部。関連作品を含めると70冊以上が刊行されている。一般的なモノクロの漫画とは違い、全ページカラーで、左とじ、セリフは横書きだ。擬音とともに鋭い爪が、牙が、相手に襲いかかる。容赦ないバイオレンスアクションはまるでアメコミだ。
原作はマレーシアの人気シリーズ。2015年、現地の出版元をグループ企業化し、翌年からシリーズの邦訳の刊行を始めた。「日本の学習漫画は『お勉強感』が強いものも多い中、エンタメに振りきっているのが人気のポイント」と角川まんが学習シリーズ編集部の田島寛子編集長は話す。参考にしたのは韓国発の人気シリーズ「科学漫画サバイバル」(朝日新聞出版)だという。こちらは翻訳された国内版だけで累計1200万部。子どもの好奇心は国境を越えていく。(興野優平)=朝日新聞2022年8月6日掲載