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専門誌「トレーニングマガジン」の魅力 めくってもめくっても筋肉

「トレーニングマガジン」

 このところ筋力・体力の衰えを実感するようになり、ずっと面倒くさがって避けてきた筋トレをいよいよやるしかないと決意した。

 といってもジムに通うほどの熱意はないので、自宅で自重トレーニング中心でやることに。マットとダンベル、プッシュアップバーを用意し、腕立て伏せと腹筋、ダンベルカール、プランク、スクワットなどメニューもいくつか考え欲張ってみたが、やってみると滅法(めっぽう)きつい。誰だこんなことやろうと言ったのは!

 って自分なんだけども、案の定みるみる腰が引け、今では腕立て伏せとスクワットだけになりつつある。そのスクワットでさえ、ときどきサボるほどだ。

 筋トレの専門誌『トレーニングマガジン』をめくってみると、みんな楽しそうでわけがわからない。筋トレを続けているとアドレナリンが出るのだろうか。超初心者に向けて挫(くじ)けないで続ける方法が書いていないか探してみたが、そんな記事は見当たらず、どれも筋トレは楽しいものという前提である。めくってもめくっても筋肉のことしか書いていない。

 なんという単調な誌面なんだと思ってしまうが、どの記事も似て見えるのは、その雑誌が玄人向けである証拠である。単調に見えるのは私が門外漢だからだ。

 最新号の特集は「主張する肩・腕」。

 ボディビル日本選手権のファイナリストやプロレスラー、ボディフィットネスの女性選手などにトレーニングのコツやこだわりを取材している。そのほか、科学的な記事やサプリメントの話、筋肉に関するQ&A、なかやまきんに君の連載など、よく読むと多様な記事があるけれど、どれも専門用語が次々出てくるから気が抜けない。

 唯一共感できたのは、コロナ対策で換気のためジムの窓やドアを開け放したところ、汗の匂いや高い体温につられて蚊がいっぱいやってきたというエッセイで、バーベルをあげている耳元でブーン。うわあ、網戸つけてあげて!

 ボディビル選手権入賞者の写真が掲載されていて、一口にボディビルといっても、いろいろなクラスがあることを知る。70歳以上のマスターズクラスもあって驚いた。写真を見る限り、その肉体はとても70代に見えない。

 私は50代だが、歳(とし)をとると鍛えている人と鍛えていない人では行動力が全然違ってくることを痛感している。そう考えると、筋トレを趣味にするのは実益にもかなうわけで、筋トレが好きになれたら一石二鳥だ。実際自分のまわりでも筋トレを始める人が増えており、スポーツに無縁だった幼馴染(おさななじみ)が数年前からやっていると知って、身が引き締まった。筋トレは中年期以降の必須ルーティンなのかもしれない。本誌には、中年から始めて脱落しないコツをぜひ教えてほしい。=朝日新聞2022年10月1日掲載