「The yogis magazine」はヨガの専門誌。ヨガについては、友人の女性が、大病後に始めてみたらてきめんに体調がよくなった、と絶賛していたので気になっていた。ただ、女性のものというイメージが強く、以前ハンモックヨガの体験に行ってみたら、男性は私ひとりで所在無い思いをした。
さらに環境や食への問題意識の足りなさを叱られそうな雰囲気も足を踏み入れにくい理由のひとつだが、齢(よわい)を重ねて体力が減退し全身にガタがきつつある現在、興味は増す一方である。最新号の特集は「ヨガする人の食哲学」。
ヨガをやるならベジタリアンもしくはヴィーガンになることを推奨されるのかと思いきや、そこは人それぞれとあったので安心した。小麦粉や甘味料など、悪者のように扱われがちな食材も否定するわけでなく、教条主義に陥らない等身大な誌面作りにホッとする。
ところどころ倫理や哲学の話に収斂(しゅうれん)していくのはヨガあるあるだけど、おいしそうな料理も紹介されているし、エッセイなどの読み物も充実していて、インド出身のヨガティーチャーの、家族がケンカをするようになったら料理をする人を変えてみるという話や、大きな体のクマンバチが小さな羽で飛べる理由についての話など面白く読んだ。その他、料理研究家土井善晴氏や、生物学者福岡伸一氏へのインタビューなど、ヨガの枠だけにとらわれないラインナップが読みやすい。
バックナンバーには、仕事やお金とどうつきあうか、というテーマを扱った号もあるようだ。ヨガとどういう関連があるのか想像がつかなくて面白そう。
本誌は一昨年に休刊した日本初のヨガ雑誌「Yogini」のスタッフが、クラウドファンディングで再スタートさせたもので、理論やポーズの紹介に偏り過ぎず、難しい専門用語もなるべく使わないよう配慮するなど、広い読者に開かれたスタイルを目指しているらしい。すでに6号まで出ているので、その思いは伝わっているのだろう。=朝日新聞2024年10月5日掲載