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雑誌「学校給食」 子どもたちの未来へ、多彩な試み満載

「学校給食」2024年12月号

 こんな雑誌があるのかと思わず手にとった「学校給食」。ふだんは栄養や衛生、災害、アレルギー、SDGsなど硬めの特集が多いなか、最新号の「学校農園を生かす」という切り口が、ユニークで気になった。少し前には「みんなの“図書コラボ給食”」なんていう特集もあって、ときどき好奇心をそそってくる。

 学校農園を生かすといっても、全児童分の給食を担えるのか疑問に思うが、実施例として挙げられている小学校には、隣接地に大きな畑があるのだった。年間で20日ほど、そこから570食分の野菜を給食用に供給している。ただ食材を提供するだけでなく、種まきから収穫までの過程を子どもたちと共有することで、食育に結び付けていく試みは面白い。年2回の「雑草ぬき祭り」の開催や、給食委員による梅シロップ作り、野菜の販売、献立作成、社会科で枝豆のさやもぎ体験、さらには協力を仰ぐ保護者や農協の職員、給食の調理員さんたちとの交流も生まれるなど、畑ひとつで子どもたちの世界が大きく広がっていく。

 前述の図書コラボ給食(本に出てくる食べ物やメニューを実際に給食にし、読書と食の楽しみへ誘う試み)もそうだったように、給食の世界では様々な試行錯誤が行われていることがわかる。

 本誌ではこうした特集以外にも、今月の献立研究、季節の和食献立、「給食だより」拝見、季節の食べものクイズ、衛生関連記事、季節のおりがみ、パズルなどのほか、小さなコラム記事がたくさんあり、ちょっと誌面がごちゃごちゃしてる感はあるが、幅広い話題をとりあげている。

 連載の中で一番目を引くのは、やっぱり巻頭の給食写真だ。最新号では埼玉県の里いものクリームスパゲッティと“姿を変えるみそ汁”なるメニューが登場。巻末に埼玉県の献立のレシピがたくさん載っていて、全部写真で見たいと思ってしまった。最新号では、学校農園の収穫を利用した献立の写真一覧が圧巻。手の込んだヘルシーな給食に、先生や調理員さんたちの愛と情熱があふれている。=朝日新聞2024年12月7日掲載