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生きづらさ抱える子どもへのブックリスト「あしたの本だな」、全国の少年院・鑑別所に配置へ

「あしたの本だな1」で紹介されている本

 日本国際児童図書評議会(JBBY)は、生きづらさを抱える子供たちが本と出会うきっかけを提供するブックリスト「あしたの本だな」を作った。JBBYのウェブサイトでPDFを無料公開しており、自由に活用できる。

 リストは、少年院や少年鑑別所の職員から要望を受けて作成した。二つに分かれていて、「1」では本に出会うチャンスのなかった子供や若い人向けに、絵本や写真集を中心とした67タイトル、「2」では読み物を中心とした108タイトルを紹介。本の内容やジャンル、難易度(読みやすさ)を提示している。

 2月22日にはオンラインのトークイベントがあり、リスト作成に携わった関係者らが思いを語った。

 刑務所や少年院で取材を続けてきた作家でジャーナリストの大塚敦子さんは、少年院の現状を説明した。少年院入院者は、虐待を受けた経験のある人が多く、最終学歴が中卒の割合も高い。「将来への希望が持てず、刹那(せつな)的な生き方に走ってしまう子が多い」。大塚さんは、そうした少年たちが本と出会い、変化する姿も見てきた。「いままで表現できなかった自分の思いを、言葉にしておろせるようになる。言葉の力を持つというのは本当に大切なことです」

 児童文学作家の村中李衣さんは、リストで紹介しているレシピ本について「安くて気軽に作れる料理が集まっている。写真には、調理する人の手やおしゃれな台所の風景が映り込んでいないものを選んだ」と語り、選書は多様な読者に配慮されていると説明した。

 リストは全国の少年院や少年鑑別所に置き、現場の声を聞きながら改訂もしていくという。リストに関する問い合わせはJBBY(03・6273・7703)へ。(田中瞳子)=朝日新聞2023年4月12日掲載