取り壊しの危機にあった明治期の洋館を、漫画や喫茶が楽しめる場として再生させた「旧尾崎テオドラ邸」(東京都世田谷区)が3月1日にオープンする。保存とリニューアルは、日本を代表する漫画家らが中心となり実現した。
保存活動をしてきた一般社団法人「旧尾崎邸保存プロジェクト」によると、建物は「憲政の神様」と言われた尾崎行雄の妻テオドラの父が、娘のために1888年に建てた。譲り受けた英文学者が同区豪徳寺に移築したという。
保存の発起人は「天才柳沢教授の生活」などの作品がある漫画家の山下和美さん。5年前、「かわいくて品のあるたたずまいが好きだった」という建物が解体の危機と知った。同法人を設立し、クラウドファンディングや漫画家仲間の援助で必要な費用を集め、オープンにこぎ着けた。
オリジナルグッズを販売するショップや喫茶室のほか、漫画を中心とした展示ギャラリーを備える。8日の記者会見には、山下さんと、協力した高橋留美子さんや福本伸行さんら漫画家7人が集結。「ドラゴン桜」などの作品がある三田紀房さんは「漫画家が漫画の力で事業を発展させていきたい」と抱負を語った。
ギャラリーでは、3月1日~12日に漫画家ら38人の原画などが展示される。入場チケットは1千円。開館時間は午前10時~午後6時(入館は30分前まで)、休館日は木曜と月1回の水曜。問い合わせやチケット購入はホームページ(https://ozakitheodora.com/)で。
(中村英一郎)朝日新聞デジタル2024年02月18日掲載