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絵本「あと2時間で新年です」 花売り・散髪…新年を待つイランの子たち

「あと2時間で新年です」(トップスタジオHR)

 日本の子どもがお正月を心待ちにするように、イランでも新年(春分から始まる)のお祝いを目前に、さまざまなドラマが繰り広げられる。イラン発の絵本「あと2時間で新年です」(ファルハード・ハサンザーデ文、ガザーレ・ビグデルー絵、トップスタジオHR)は、異文化の庶民生活を温かく伝える一冊だ。

 散髪の順番待ちをする少年、新しい服の仕上がりを待ちわびる少女、売れ残りの花を抱える兄妹。やがて彼らの物語が交わって――。

 訳者の愛甲恵子さんは「イランの人は詩を大事にする。会話にも自然に詩の一節が入ってくるし、詩集で占いもする。絵本の文も説明的ではなく想像の余地が広い」と語る。街角の赤い金魚や緑のお飾りが印象的な本作も「情報を得るというより、体験するように楽しめます」。

 「陽気で、おしゃべり好きで、世話好きで。絵本への共感をきっかけに、背後にあるイランの文化やお国柄にも目を向けてもらえたら」と愛甲さん。ウェブサイト「サラーム・サラーム」でも多彩なイランの絵本を紹介している。

 27日から5月23日まで東京・神保町の絵本・児童書専門店「ブックハウスカフェ」でパネル展。4月29日午後2時には同店で、絵本評論家・作家の広松由希子さんと愛甲さんのトークイベントもある。(藤崎昭子)=朝日新聞2025年4月26日掲載