ハンセン病に対する誤った政策のために生まれることを許されなかった子どもたちに捧げた紙芝居、「わたしの命の物語」が完成した。患者・元患者の悲劇を伝えるため、全国ハンセン病療養所入所者協議会事務局長を務めた故・藤崎陸安(みちやす)さんが構想していた作品だ。
絵は、アートユニット「ペトロアンドヨゼフ」の田川誠さんと深澤慎也さんが担当した。脚本は、小説「あん」(樹木希林さん主演で映画化)の作者でもあるドリアン助川さんが書いた。ハンセン病回復者である両親に誕生を待ち望まれながら、主人公の「わたし」は国に命を奪われる。生まれたら、あんなこと、こんなこと、してみたかった……。
陸安さんの遺志を継ぎ完成に力を注いだ妻の美智子さんは、「紙芝居を見た5年生の男の子が、『病気になっただけで、なぜそんな目に遭うの?』と言ってくれた。原点である疑問が届いてうれしい」と語る。
東京都東村山市の書店「トロル」で販売中。注文は電話(042・392・5304)、ファクス(042・392・5305)、ネットショップ(troll-store.com)で。税込み5500円、別途送料。(藤崎昭子)=朝日新聞2025年9月27日掲載