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本屋大賞、翻訳小説の大賞に「空、はてしない青」【発表会詳報】

好書好日の記事から

本屋大賞に朝井リョウさん「イン・ザ・メガチャーチ」 探ってきた「生きる推進力」【発表会詳報】

主人公たちと一緒に旅をしている気分

 『空、はてしない青』は2018年にネット上で発表されて話題となり、フランスで刊行された小説。若年性アルツハイマーに冒された青年が、余命2年と宣告され、家族に内緒でピレネー山脈を旅しようとネットで同行者を募ったところ、一風変わった若い女性とキャンピングカーで旅をするストーリー。いかに死ぬか、いかに生きるかを気づかせてくれる再生の物語として、フランスだけで160万部を売り上げたといいます。

 翻訳を手がけた山本知子さんは「当初、あまりのページの多さにひるみましたが、読んでいると映像が次々と頭を浮かんで映画のようで、気づくと主人公たちと一緒に旅をしている気分になりました。読み終わったときはすがすがしい気分に包まれ、日本でも性別や年齢を超え、幅広い人々に受け入れられるだろうと思った」と話し「感想を拝読するたびにこの小説の魅力を再発見し、この小説の翻訳に携われて幸せだと思う日々です。外国の小説に興味を持ってくださる方が一人でも増えるのであれば、こんな幸せはございません」と謝辞を述べました。

ビデオメッセージで受賞への感謝を述べるメリッサ・ダ・コスタさん

  ダ・コスタさんも「大変名誉なこと。この物語はレジリエンス(回復力)や旅、自由、そしてとても人間的な愛、自然への愛を描いたものです。私の作品を広め、声を届けてくださったすべての関係者の皆さん、そして小説の世界を楽しんでくださっている読者の皆さんにも感謝します」とビデオメッセージを寄せました。

超発掘本は「旅の短篇集 春夏」

 ジャンルや新旧を問わず書店員が「売りたい」と思う本を選ぶ2026年の「超発掘本!」には、原田宗典さんの『旅の短篇集 春夏』(2000年初版、角川文庫)が選ばれました。

 ロンドンの自然博物館にある恐竜の前でじっと息を殺していると恐竜が話しかけてくる。そんな話を友人から聞いた「私」はそのイグアノドンの標本を訪ねるが、何の物音も聞こえない。がっかりしてホテルに帰ると……。ロンドン、ボストン、イスタンブール、世界のあらゆる都市へ空想の旅にいざなう幻想的で不可思議なショート・ストーリー集。

『旅の短篇集 春夏』が「超発掘本!」に選ばれスピーチする原田宗典さん=斎藤大輔撮影

 原田さんは「もともとFM東京の『ジェットストリーム』という看板番組で、金曜だけ3本ずつ、不思議な旅をする物語を読むというオファーがあって引き受けた。毎週金曜に3本ずつ小説を書いていくのは結構大変だったけど、城達也さんから『すごく面白いです』と言っていただいたので続けられた。朗読するために書かれた本なので、誰もいないときに声に出して、城達也になったつもりで読んでみると、まったく違う趣の物語に聞こえるはずです。ほかにも短編集をたくさん書いているので、来年も再来年も発掘していただければ」と会場を沸かせました。