9日に発表された本屋大賞は、朝井リョウさんの「イン・ザ・メガチャーチ」(日本経済新聞出版)が大賞を受賞したほか、翻訳小説部門と2024年11月以前の刊行作が対象の発掘部門が選ばれた。
翻訳小説部門は「空、はてしない青」(メリッサ・ダ・コスタ著、山本知子訳、講談社)に。フランスの人気作家のデビュー作で、邦訳版は昨年9月に刊行された。
若年性アルツハイマーと宣告された26歳のエミルが主人公。エミルは、「人生最後の旅」に出ることを決める。インターネットの掲示板で同行者を募ると、現れたのは若い女性だった。2人の美しい旅の物語に、書店員からは「なんて美しい救済と再生の旅だろうか!」「人生のすべてが輝いて見える傑作」などと、熱量の高い評価が集まった。
発表会で山本さんは、原書を初めて手に取った時はその分厚さに少しひるんだものの、読み始めると頭に映像が次々浮かび、一緒に旅をしていたと回顧した。「最後の何章かは涙で文字がかすんだけれど、読み終わった時には悲しみや切なさより、すがすがしい気分に包まれていた」。日本でも年代や性別を超えて受け入れられると感じたという。
発掘部門は、00年に刊行された「旅の短篇集 春夏」(原田宗典著、角川文庫)に決まった。世界の様々な都市へ、空想の旅にいざなうショートストーリー集だ。
原田さんは同作について、「この短篇集は、朗読するために書いたものですから、誰もいないときに城達也になったつもりで声に出して読んでみると、全く違う趣の物語に聞こえるはず」と紹介した。
同作は、ラジオ番組「JET STREAM」の金曜版「ミッドナイトオデッセイ」で城さんが朗読する小説として書かれたものだった。原田さんは、初めて対面した城さんから、「とっても楽しみにしてますよ。すごく面白いです」と声をかけられたことが、この作品を書き続けられた一つのきっかけだったと振り返り、「今でも城さんには感謝しております」と語った。(堀越理菜)=朝日新聞2026年4月15日掲載