1. HOME
  2. コラム
  3. ブックエンド
  4. 「堀江敏幸コレクション」 懐かしく優しい「がらくた」

「堀江敏幸コレクション」 懐かしく優しい「がらくた」

 昨春、読書編集長に就き、数多くの新刊から書評委員に選んでもらい、書評を掲載してきました。ただし、新訳や増補版、復刊本などは長年、書評委員会で検討外としています。いずれも時の試練に耐えた、訳者や編集者のお墨付き。新たに世に出た本こそ目利きの書評委員に評してほしいという思いからです。

 それでも個人的には読書面で紹介したいと身もだえするものも。たとえば今春、白水Uブックスで始まった「堀江敏幸コレクション」=写真。かつて発表した小説やエッセー、翻訳を編み直し、作家自身による書き下ろしの解説が付きます。9月に出た『もののはずみ』(1540円)は、いわゆる「がらくた」でも作家の手が触れるとなぜか懐かしく優しい物語を帯びるエッセー。ゆっくり少しずつページをめくるのがこのコレクションの楽しみ方でしょう。

 今週から読書編集長が交代し、柏崎歓が担当します。編集部では引き続き、本との良き出合いをみなさんにお届けしていきます。(中村真理子)=朝日新聞2026年10月3日掲載