角川春樹事務所創立30周年記念祝賀会が1日、東京都内で開かれた。角川春樹社長のほか、石破茂前首相らも登壇し、出版界への思いを語った。
角川社長は、昨夏に脳梗塞(こうそく)を発症して病院に運ばれ、九死に一生を得たことに触れて、「つくづく肝に銘じたのは生きることは学ぶこと。その中でも最も大きな学びというのはやはり、人と出会うことであるというふうに感じた」と明かした。
「現在の出版界のテーマは生き延びることにある。私は本が好きですが、本を売ることがもっと好き。売れる本を出したい、売れる本を作りたいと、その一心でいます」と述べ、妻で副社長の友美氏や息子にバトンタッチしていくとも語った。
そして、「難しい出版界、苦しい出版界で生き延びることをテーマにしている中で、しかしながらそれに負けずに皆さんもともに唱和していただきたい」と呼びかけて、「ネバーギブアップ!」と拳を突き上げた。
石破前首相もあいさつに立った。「本屋さんがないような市町村をゼロにしたいと思う。そのためには再販制度も見直していかねばならんでしょう。出版業の在り方も見直していかねばならんでしょう。それはこの国が二度と間違いをしないためにやっていかねばならないことだ」と語った。
第18回角川春樹小説賞の贈呈式もあり、賞を受けて「イクサヒメ 明治横浜甲冑(かっちゅう)剣劇」でデビューした大林蒼平さんがあいさつした。(堀越理菜)=朝日新聞2026年10月28日掲載