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#終戦の日に読みたい筑摩書房の10冊

記事:筑摩書房

#終戦の日に読みたい筑摩書房の10冊
#終戦の日に読みたい筑摩書房の10冊

① 『一銭五厘たちの横丁』児玉隆也=著 桑原甲子雄=写真(ちくま文庫)

〈99枚の「氏名不詳」家族写真から、あの戦争が見えてくる。〉

 戦後30年を前にした東京・台東区の下町で、著者は、戦時中に桑原甲子雄により撮られた「氏名不詳」の人びとを探して、ひたすら露地を歩き、家の戸をたたいた。そうして探し当てた彼らが語ったのは、戦場と横丁、それぞれに降りかかった「戦争」だった。写真の留守家族たち、一銭五厘のハガキで出征した横丁の兵士たちの戦中・戦後を記録したルポルタージュの名著。

児玉隆也 著 桑原甲子雄 写真『一銭五厘たちの横丁』(ちくま文庫)
児玉隆也 著 桑原甲子雄 写真『一銭五厘たちの横丁』(ちくま文庫)

 戦地に送られた一人ひとりに家族がいて、生活があった、という当たり前のことを思い出させてくれます。日常と戦争が隣り合わせだった当時の光景を、ありありと浮かび上がらせる一冊です。

刊行から50年、漫画家・イラストレーターのかつしかけいたさんが舞台となった町を歩きました。99枚の「氏名不詳」家族写真から、あの戦争が見えてくる|じんぶん堂

②『広島第二県女二年西組 ──原爆で死んだ級友たち』関千枝子=著(ちくま文庫)

〈原爆で全滅したクラス全員の死までの足どりとさいごの姿を求めて、八月六日から十五日までを再現する。〉

 勤労動員にかり出された級友たちは全滅した。当日、下痢のため欠席して死をまぬがれた著者が、40年の後、一人一人の遺族や関係者を訪ねあるき、クラス全員の姿を確かめていった貴重な記録。“……(遺族の)辛すぎて話したくない気もち、その後の40年間の苦しみも含めて、全員のことを書き残したかった。また同じ組で机を並べていた私が書く以上、単なる被爆記録ではなく、一人一人を人間として書きたかった。”(あとがきより)

関千枝子『広島第二県女二年西組──原爆で死んだ級友たち』(ちくま文庫)
関千枝子『広島第二県女二年西組──原爆で死んだ級友たち』(ちくま文庫)

 「できることなら中、高校生に読んでもらい原爆の実相を知ってほしい。年若い、少年少女たちが犠牲になったことを忘れないでほしい」という著者の願いが、痛切に心に響きます。

本書が6刷となった際に寄せた、関千枝子さんの文章→ヒロシマの惨禍を風化させてはならない 『広島第二県女二年西組』関千枝子さん寄稿|じんぶん堂

③『東京の戦争』吉村昭=著(ちくま文庫)

少年の目に映った戦時下・戦後の庶民生活を活き活きと描く珠玉の回想記

 物干台で凧を揚げていて、東京初空襲の米軍機に遭遇した話。戦中にも通っていた寄席や映画館や劇場。一人旅をする中学生の便宜をはかってくれる駅長の優しさ。墓地で束の間、情を交わす男女のせつなさ。少年の目に映った戦時下東京の庶民生活をいきいきと綴る。抑制の効いた文章の行間から、その時代を生きた人びとの息づかいが、ヒシヒシと伝わってくる。時を超えて鮮やかに蘇る、戦中戦後の熱い記憶。

吉村昭『東京の戦争』(ちくま文庫)
吉村昭『東京の戦争』(ちくま文庫)

 当時の情景や暮らしぶりの克明な描写により、戦争が単なる歴史上の出来事ではなく、生々しい現実として迫ってきます。

④『戦争と漫画 戦地の物語』山田英生=編(ちくま文庫)

死の行軍、沖縄戦、慰安婦、引揚、抑留……戦後の漫画家は兵士や戦地の人々をどう描いたのか。

 激戦地での死の行軍、軍隊の暴力や不条理、戦地の女性たちの苦難、ラーゲリの日々……巨匠から新進気鋭の作家まで、漫画家はどのように戦争を描いたのか? 戦地の兵士や女性、子どもたちの物語を収録した精選アンソロジー。
【収録作家】武田一義/滝田ゆう(原作:野間宏)/水木しげる/わちさんぺい/山田参助/楳図かずお/石坂啓/今日マチ子/比嘉慂/村上もとか/河井克夫(原作:辺見じゅん)/ちばてつや 巻末エッセイ 吉田裕

山田英生 編『戦争と漫画 戦地の物語』(ちくま文庫)
山田英生 編『戦争と漫画 戦地の物語』(ちくま文庫)

 戦後80年の節目に刊行された「戦争と漫画」シリーズの第一作。漫画ならではの臨場感や没入感で、戦争の悲惨さと不条理を伝える12作品が収録されています。

⑤『戦争体験 ──一九七〇年への遺書』安田武=著(ちくま学芸文庫)

〈「語りがたさ」への固執〉

 戦争体験の伝承ということ、これについては、ほとんど絶望的である――。少年期を日中戦争の戦時下に過ごし、大学在学中に徴兵され、ソ連軍の捕虜となり復員。異常で圧倒的であり、自らの現在を決定づけた戦争体験とその伝承の難しさについて、戦中派である著者が切々と書き綴る。戦後多くの知識人が、体験を思想化・体系化して後世に伝え、反戦・平和を訴える義務と責任を説くなかで、著者はその「語りがたさ」に固執しつづけた。屈辱や憤り、自責、虚しさ、喪失、死への誘惑……。時に感傷的で非生産的と批判されながらも、断片的で矛盾に満ちた自らの戦争体験に留まり、二十年をかけてその「無念」を問うた書。

安田武『戦争体験 ─一九七〇年への遺書』(ちくま学芸文庫)
安田武『戦争体験 ─一九七〇年への遺書』(ちくま学芸文庫)

 「戦争体験を現代に生かすも生かさぬも、それはまったく、それぞれ各自の問題であって、余人の立入るところではない。戦争体験から何も学びたくないと思う者、あるいは何も学ぶことはないと考える者は、学ばぬがよいのである。」と、戦争体験を若い世代に「わかりやすく」伝えることを拒否した著者の思想は、現代の我々に何を問いかけるでしょうか。

⑥『餓死した英霊たち』藤原彰=著(ちくま学芸文庫)

〈日本兵140万人は、なぜ餓死したか〉

 アジア太平洋戦争において死没した日本兵の大半は、いわゆる「名誉の戦死」ではなく、餓死や栄養失調に起因する病死であったーー。戦死者よりも戦病死者のほうが多いこと、しかもそれが戦場全体にわたって発生していたことが日本軍の特質だと著者は指摘する。インパール作戦、ガダルカナル島の戦い、ポートモレスビー攻略戦、大陸打通作戦……、戦地に赴いた日本兵の多くは、無計画・無謀きわまりない作戦や兵站的な視点の根本的欠落によって食糧難にあえぎ、次々と斃れていった。緻密な考証に基づき、「英霊」たちのあまりにも悲惨な最期を明らかにする。

藤原彰『餓死した英霊たち』(ちくま学芸文庫)
藤原彰『餓死した英霊たち』(ちくま学芸文庫)

 日本兵の大量餓死という衝撃の実態を暴き、その責任を告発する本書の根底には、著者自身の深い怒りが秘められています。

⑦『日本人が知らない戦争の話 ──アジアが語る戦場の記憶』山下清海=著(ちくま新書)

〈かつて、私たちは何をしたのか。〉

 アジア・太平洋戦争において、後景に退きがちなタイ地区や東南アジアでの戦闘。激戦や過酷な統治が繰り広げられたその場所で暮らす人びとは、当時をどう語り継いでいるのか。そもそも私たちは、かつて日本軍がしたことをどれだけ知っているだろうか。長年アジア各地で人びとの声に耳を傾けてきた地理学者が、日本人がけっして忘れてはいけない戦争の理不尽な現実を明らかにする。

山下清海『日本人が知らない戦争の話』(ちくま新書)
山下清海『日本人が知らない戦争の話』(ちくま新書)

 アジア・太平洋戦争に関して、戦場となった中国・東南アジア地域で暮らしていた人びとのことをどれほど知っていますか? アジアの視点から戦争を捉えなおす、いまの日本を生きる私たち必読の一冊です。

⑧『カジムヌガタイ——風が語る沖縄戦』比嘉慂=著(ちくま文庫)

〈米軍も日本軍も敵だった――。沖縄戦を描く傑作漫画。〉

  村の娘を襲う米兵に一致団結して戦う人びと、家族を殺した日本兵への復讐を誓う少女、中国戦線で心に傷を負った青年とオバァ、故郷を守ろうと奔走する子どもたち……苛烈を極めた沖縄戦、その後の米軍占領の歴史の中で、沖縄の人びとはいかに生き、闘ったのか。その歴史を活劇とユーモアとともに描いた6つの物語。第7回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞作。

比嘉慂『カジムヌガタイ』(ちくま文庫)
比嘉慂『カジムヌガタイ』(ちくま文庫)

 沖縄の人びとにとって、アメリカ軍だけでなく、日本軍にも苦しめられた戦争は、地獄のようなものでした。私たちは「これは私の遺書だと思っている」という著者の思いを受け止め、現在も起きている戦争や沖縄の負担について考えていかねばなりません

⑨『十五年戦争小史』江口圭一=著(ちくま学芸文庫)

〈満州事変から敗戦までを描く画期的通史〉

  戦争は、誰によっておこされ、どのように展開したか 。本書では、1931年の柳条湖事件の謀略に始まり、45年ポツダム宣言受諾と降伏文書調印によって終わった一連の戦争を「十五年戦争」と呼び、その曲折に満ちた過程と全体像を克明に描く。アジア覇権主義を掲げる日本軍部と対米英協調路線の宮中グループとのせめぎ合い、マスコミの報道によって国内で急速に高まる排外主義、アジア太平洋戦争へと向かう御前会議のありよう……。満州事変、華北分離、日中戦争、アジア太平洋戦争で構成される各部には年表、関係地図を付し、制度や組織の変遷、人事の系統図なども適宜配した。長年読み継がれてきた画期的通史。

江口圭一『十五年戦争小史』(ちくま学芸文庫)
江口圭一『十五年戦争小史』(ちくま学芸文庫)

 戦争そのものの原因・経過・帰結を明らかにすることを重点とし、大学の講義をもとに平明、かつコンパクトにまとめられた本として、長年読み継がれてきました。

⑩『はじめての戦争と平和』鶴岡路人=著(ちくまプリマー新書)

〈国際関係のリアルな読みとき方がわかる!〉

  話し合いができれば戦争は起きないはずだ。軍隊がなければ平和になる。……本当にそうでしょうか? そもそも安全保障とは、リスクをゼロにするような理想論ではなく、現実的なリスクを把握、管理し、対処すること。国際関係や防衛の問題のリアルな読みとき方を知ることは、戦争のない世界を目指すための土台となります。2025年度第47回サントリー学芸賞<政治・経済部門>受賞。

鶴岡路人『はじめての戦争と平和』(ちくまプリマー新書)
鶴岡路人『はじめての戦争と平和』(ちくまプリマー新書)

 世界を平和にする魔法のような解決策はない。厳しい現実を受け止め、少しでも平和に向けて前進するためにまず読んでおきたい、戦争と平和のメカニズムをわかりやすく解説した入門書です。

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