一昨年の7月、東京・渋谷で安全保障関連法の制定に反対する母親たちによるデモが開かれた。その時の合言葉が、「だれのこどもも ころさせない」(かもがわ出版、税抜き1600円)という絵本になった。
デモは「安保関連法(当時は安保関連法案)に反対するママの会」が呼びかけ、画家の浜田桂子さん(69)も個人で参加。昨年5月に「デモのかけ声を絵本にしたい」と打診され、引き受けた。
安保法反対の合言葉、絵本に
合言葉は「せんそうさせない こどもをまもる」「ママは せんそうしないときめた」など。最初は「絵本の言葉になるのだろうか」という心配もあったが、ママの会発起人の西郷南海子さんと共同作業で進め、下書き本を作っているうちに、言葉の世界と絵の世界が浸透していったという。
「せんそうのどうぐ つくるのやめよう」という言葉には、世界のお母さんたちが協力して巨大な掃除機で兵器を吸い取る姿を描いた。表紙は、お母さんがぎゅっと子どもたちを抱きしめている姿に。元気な子どもたちの傍らに、少年兵や難民の子など戦争で命を落とした子どもたちも登場する。
「子どもがいきいきと生きられることが平和な世の中。大人も子どもに戻ったつもりで読んでもらえたら」と浜田さん。「親の意見を押しつけるのではなく、一緒に読んで子どもの話を聞くきっかけにしてほしい」(見市紀世子)=朝日新聞2017年6月24日掲載