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ひろゆき「働き方 完全無双」 妙に説得力ある「逆張り」思考

働き方 完全無双 [著]ひろゆき

 「先進国で生まれた、あなた。残念でしたね」
 と、イヤーな文言から始まる本書。先進国では今後「競争を勝ち抜いた一部だけが一人勝ちの状態」になる。そこから抜け出すために「無双状態」を作り出せと、著者は独特の考え方を開陳する。
 極意は、やみくもに働かないこと。そのスタンスは「(自分のことを)基本は『ダメなやつ』と思え」「『なんでもやります!』って言うな」など、逆張りが基準。本人がインターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」の管理人を務めていた時に受けたバッシングについては、「『他社が参入してこない』というメリット」があったと、したたかな斜め返しの技だ。
 やみくもに働かないことと対になるのは、成功者を応援すること。日本人は人の足を引っ張りがちだが、「足を引っ張って一緒に底辺にずり落ちるよりは、成功モデルをマネして近づこうと頑張るほうが早い」し、一緒にオイシイ思いができて、よほどいい。
 そんなひろゆき流「無双」実現の基盤として、巻末に国民全員に月7万円を支給するベーシックインカム案が、提起されている。人を喰(く)った表現も多い本だが、合理的思考には妙に説得されてしまう。=朝日新聞2018年5月19日掲載