「時代の正体―権力はかくも暴走する」書評 「当事者そのもの」という思い
評者: / 朝⽇新聞掲載:2015年10月11日
時代の正体 vol.1 権力はかくも暴走する
著者:神奈川新聞「時代の正体」取材班
出版社:現代思潮新社
ジャンル:社会・時事・政治・行政
ISBN: 9784329004956
発売⽇: 2015/08/31
サイズ: 19cm/263p
時代の正体―権力はかくも暴走する [編]神奈川新聞「時代の正体」取材班
1977年、横浜に米軍機が墜落し、住民3人が死亡した。その事故と、米軍基地の建設計画が進む沖縄を重ねあわせ、記者は書く。「米軍の事故で犠牲になる人は守るべき日本人の一人に入っていないのか」。在日コリアンに対するヘイトスピーチの取材から、関東大震災の時に起きた朝鮮人虐殺の実態を探り、その記憶がどう消されてきたかをたどる——。神奈川新聞の記者たちが、この時代の問題を、地元に根ざして切り取った連載をまとめた。安全保障関連法に反対するSEALDs(シールズ)の若者や、映画監督の高畑勲さん、作家の辺見庸さんらのインタビューも収録。記者は傍観者でなく、「当事者そのもの」という思いが貫かれた本だ。
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現代思潮新社・1728円