1. HOME
  2. 書評
  3. 「謎と暗号で読み解く ダンテ『神曲』」書評 言葉で築き上げられた大聖堂

「謎と暗号で読み解く ダンテ『神曲』」書評 言葉で築き上げられた大聖堂

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2013年12月08日
謎と暗号で読み解くダンテ『神曲』 (角川oneテーマ21) 著者:村松 真理子 出版社:KADOKAWA ジャンル:小説・文学

ISBN: 9784041106259
発売⽇:
サイズ: 18cm/251p

謎と暗号で読み解く ダンテ『神曲』 [著]村松真理子

 「西洋史上、最高の文学」とも評されるダンテ『神曲』。さながら言葉で築き上げられた大聖堂だ。一見取っつきにくい古典だが、本書は挑戦する手がかりを与えてくれる一冊。
 14世紀初頭に書かれたこの叙事詩には、幾重にも寓意(ぐうい)が埋め込まれている。探求心に突き動かされた航海の末に、神の意志で海底へとのみ込まれる古代の英雄ウリッセ(オデュッセウス)のエピソードが印象的だ。読者は、人間が知を追求することは罪なのか?という問いを突きつけられる。キリスト教世界に生きたダンテに限らず、原発を生み出した科学技術を思えば、現代を生きる私たちにも切実な問いとなる。
    ◇
 角川oneテーマ21・820円