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「我が身は炎となりて―佐藤首相に焼身抗議した由比忠之進とその時代」書評 「日本人とベトナム戦争」描く

評者: 上丸洋一 / 朝⽇新聞掲載:2012年02月19日
我が身は炎となりて 佐藤首相に焼身抗議した由比忠之進とその時代 著者:比嘉 康文 出版社:新星出版 ジャンル:エッセイ・自伝・ノンフィクション

ISBN: 9784905192084
発売⽇:
サイズ: 19cm/402p

我が身は炎となりて―佐藤首相に焼身抗議した由比忠之進とその時代 [著]比嘉康文

 ベトナム戦争のさなかの1967(昭和42)年11月11日夕刻、首相官邸前の路上で、1人の男性が焼身自殺を図った(12日、死亡)。翌日に訪米する予定の佐藤栄作首相にあてた抗議書が、かばんの中に入っていた。
 「ベトナム民衆の困苦を救う道は(略)米国が無条件に北爆を停止することだ」
 「(日本が)北爆を支持したのに深い憤りを覚える」
 自殺したのは、由比忠之進(ゆいちゅうのしん)(73)。20年代初頭に国際語エスペラントと出あい、その後一貫してエスペランチストとして活動してきた。その平和主義者の生涯を、元沖縄タイムス記者の著者がたどる。
 空爆下の北ベトナムは、エスペラントを情報発信の手段として使っていた。由比は、北ベトナムから送られてくるエスペラントの雑誌記事を日本語に翻訳して紹介することに尽力した。日本の革新政党に対しては根強い不信感をもっていたという。日本人とベトナム戦争のかかわりが由比を通して描き出される。
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新星出版(098・866・0741)・1800円