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「PAPA&CAPA―ヘミングウェイとキャパの17年」書評 原語の真髄伝える創作的妙

評者: 逢坂剛 / 朝⽇新聞掲載:2011年06月05日
PAPA&CAPA ヘミングウェイとキャパの17年 Ernest Hemingway by Robert Capa 著者:山口 淳 出版社:阪急コミュニケーションズ ジャンル:小説・文学

ISBN: 9784484112084
発売⽇:
サイズ: 17×20cm/145p

PAPA&CAPA―ヘミングウェイとキャパの17年 [著]山口淳 

 作家ヘミングウェイと従軍カメラマンのキャパは、スペイン内戦を通じて、親しい友人になった。著者は2人の交流に焦点を絞って、さまざまな資料を渉猟し、本書を書き上げた。子供っぽい理由で二度も三度もけんか別れしながら、いつの間にか仲直りする2人の関係が、ほほえましい筆致で描き出される。
 ヘミングウェイの『誰がために鐘は鳴る』が映画化される際、キャパが出演しようとしきりに運動するくだり、ヘミングウェイと妻のマーサを、別れさせようとキャパが知恵を絞るくだりは、ことにおもしろい。功なり名を遂げながら、2人ともその名声の陰に種々の苦しみ、悩みを抱えていたことがよく分かる。
 本書には、キャパが撮ったヘミングウェイの写真が、多数収められている。さすが、と思わせるショットも何枚かあるが、多くは素人にも撮れそうな、素朴な写真だ。
 だからこそ、キャパの作品は見る者に、独特の親近感を抱かせるのだろう。

 逢坂剛(作家)
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 阪急コミュニケーションズ・2100円