河谷史夫「本に遇う」書評 読書とは世界を読み、人間を読むこと
評者: 朝日新聞読書面
/ 朝⽇新聞掲載:2011年02月20日

酒と本があれば、人生何とかやっていける (本に遇う)
著者:河谷 史夫
出版社:言視舎
ジャンル:本・読書・出版・全集
ISBN: 9784905369158
発売⽇:
サイズ: 20cm/323,3p
本に遇う1・2 [著]河谷史夫
会員誌「選択」に10年以上書き継がれたエッセーをまとめたものだ。読書とは世界を読み、人間を読むことなのだ、と断じる著者。毎回、本を巡っての文章が続くが、書評ともいえない。時の事件や世情、はたまた著者の日常に本が重ね合わされ、警句にも似た文章がつづられる。ベストセラーなどほとんど登場しない。中江丑吉、川上澄生、谷川雁、車谷長吉、山本夏彦、茨木のり子……。著者好みの人名をあげれば、あるこだわりと偏向がみえてくる。でも、角のないツルリとした文章で語られる「世界」や「人間」など何がおもしろいか。と、再確認させられる。(彩流社・各2310円)