今、ブームを呼んでいる廃墟。実際に観光で訪れるもよし、廃墟を舞台にした小説で妄想を膨らませるもよし。日本にも海外にも知る人ぞ知る廃墟はたくさんあり、多くのファンを魅了しています。そんな廃墟を掲載した写真集や廃墟を舞台にした物語などに触れ、現実をひと時忘れることができる本を紹介します。
- 美麗廃墟 美しく幻想的な廃墟たち(エムディエヌコーポレーション)
- 真・女神転生 廃墟の中のジン(富士見ファンタジア文庫)
- ザ・ロード(ハヤカワepi文庫)
- 世界の廃墟(飛鳥新社)
- 新・建築の黙示録(平凡社)
(1) 美麗廃墟 美しく幻想的な廃墟たち
フランス人写真家が、日本各地の廃墟を撮影した写真集です。外国人ならではの感覚で撮影されていて、美しい風景としての廃墟を堪能することができます。すでに有名な廃墟はもちろん、初めて写真集に掲載される廃墟、すでに取り壊されてしまったスポットまで掲載されています。「退廃の美」を存分に楽しむことができる一冊です。
(2) 真・女神転生 廃墟の中のジン
人気RPGのオリジナルストーリーを描いた小説です。全面核戦争後、廃墟と化した魔都・東京に徘徊する悪魔たち。徹底的に破壊された街で、孤児であり何の希望も持たない少年が、悪魔使いに助けられ成長していきます。日常生活で行き詰まりを感じたときにこの物語の廃墟を夢想すれば、そこで力強く生きる少年の姿から勇気がもらえるはずです。
(3) ザ・ロード
核戦争後を思わせる荒廃した世界、最後の火を守り南へ進む父と子。SF要素をベースに親子愛を淡々と描き、ピュリッツァー賞を受賞したロード小説です。廃墟に出没する殺人者や略奪者によって危険にさらされる父子。消え入りそうな希望をやっとつなぐことができたラストに、胸の奥底から込み上げてくるものを感じているでしょう。
(4) 世界の廃墟
日本では知られていないけど、世界的には有名な廃墟を集めた写真集です。戦災、経済衰退、資源枯渇、金融破綻・・・どこの都市であっても栄えていた場所が、一気に廃墟となる可能性を秘めています。自分の住む街はあと何年存在するのだろう。ふとそんなことが頭によぎり、今見えているものがすべてではないと安心することができます。
(5) 新・建築の黙示録
大判カメラによる精密な撮影で、日本を含めた世界の廃墟が収められた写真集。この本では年月とともに朽ち果てた廃墟だけでなく、解体により変容していく都市の移ろいも目撃することができます。建築家が精魂を込めて作った建物が、不要になればあっさり壊されていく。都市の新陳代謝とは、耽美な風景でもあります。