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「日本クラゲ大図鑑」 ゆらゆら、たゆたう姿が涼しげ

 お盆明けあたりから海水浴場に増えてくるというクラゲ。刺されると厄介ですが、半透明の体とそこから伸びる触手や口腕をゆらゆらさせながら浮かんでいる姿は涼しげです。
 まだまだ残暑が厳しい中、さまざまな形態のクラゲを愛でて暑気払いをしてみてはいかが?

 「日本クラゲ大図鑑」は、日本近海のクラゲ類についてまとめた一冊。狭義ではクラゲは刺胞動物に属するものを指すそうですが、本書では有櫛(ゆうしつ)動物門に属するクラゲ、さらにはクラゲによく間違われる動物たちやプランクトンにまで範囲を広げ、「大型プランクトン」という意味で紹介しています。

 面白いのが、分類上は狭義の“正統派クラゲ”なのに、見た目は全然クラゲらしくないクラゲがいること。中でも個人的に気になったのは、群体となってクラゲに発達するという「管クラゲ目」のクラゲたち。小さな魚たちが群れをなして大きな魚となった絵本『スイミー』を思い出してしまいました。

形態の異なる個体が連なって群体となる管クラゲ目。写真はバレンクラゲ
形態の異なる個体が連なって群体となる管クラゲ目。写真はバレンクラゲ

 各種クラゲを紹介するだけでなく、クラゲの毒や刺されたときの対処法、水族館で行われるクラゲの採集や飼育・繁殖、クラゲの食文化など、クラゲに関する幅広い情報を網羅しているのがこの図鑑のすごいところ。私はこれでクラゲが捕食されているところを初めて見ました。

 百聞は一見にしかず。クラゲたちの知られざる姿をぜひ自分の目で確かめてみてください。