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ヒラリー・クリントン「WHAT HAPPENED 何が起きたのか?」書評 女性の社会参加に元気を注入

評者: 長谷川眞理子 / 朝⽇新聞掲載:2018年09月22日
何が起きたのか? 著者:ヒラリー・ロダム・クリントン 出版社:光文社 ジャンル:政治・行政

ISBN: 9784334962203
発売⽇: 2018/07/19
サイズ: 19cm/513p

WHAT HAPPENED 何が起きたのか? [著]ヒラリー・ロダム・クリントン

 ヒラリー・クリントンは、2016年11月に女性候補としてアメリカ大統領選を戦い、ついにガラスの天井を壊すかと思いきや、共和党のトランプに負けた。あの選挙には、私もずいぶん興奮した。
 本書は、そのヒラリーによる、この前の大統領選の回顧である。彼女の信条形成の過程を振り返り、彼女が何を実現したいと思っているのかが表明される。なぜ勝てなかったのかの自己分析でもある。政治家が自分のことを書くのだから、書かれた通りだとは思わない。メディアが作る虚像あり、ロシアの介入疑惑あり。しかし、本書は、彼女の気持ちが非常に正直に明快に表現されていて爽快だ。
 女性はもっと自分を信じ、世界を変えるためにトップをめざすべきだと、これほど情熱と自信をもって主張し、実践できる有能な女性は日本に何人いるだろうか? 女性の社会参加で圧倒的に後れをとる日本に元気を注入してくれる。