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BLマスターたちが指南 「最初に読むべきBLはこれだ!」

漫画好きの男性に贈る!歴史絵巻のような壮大な物語(井上將利)

 “漫画好きの男性”が大勢いる中、そこに「BL」という要素が加わると途端に数が少なくなるようで……。今回は、“漫画好きの男性”を自負する私が、作品に触れながらBLの世界をご紹介します!
 まず、「BL」=「ボーイズラブ」という見慣れない言葉に取っつきにくさを感じる人も多いはず。「BL」をとてもシンプルに言うならば、“男男の恋愛”を描く作品。“男女の恋愛”があるように“男男の恋愛”を描く作品もあるという事実。「そんな当たり前のこと…」と思った方!そうです!当たり前なのです!“パン派?ごはん派?”とか“野球派?サッカー派?”のように“男女派?男男派?”でいいし、どちらか片方だけじゃなくてもいいですよね?そんな“男男の恋愛”模様、実は昔から当たり前だったのかも知れません。
 「BL」の入り口に立たれた皆さんにまずご紹介したいのは、西つるみさんの『華なるもの』(祥伝社)。平安時代、宮廷の間で男色文化が浸透していたそうで、貴族社会を自身の器量で成り上がろうとする主人公の高前(たかさき)と彼を取り巻く貴族たちを描いた作品です。

 西つるみ『華なるもの』より(©西つるみ/祥伝社 on BLUE comics)
西つるみ『華なるもの』より(©西つるみ/祥伝社 on BLUE comics)

 高前に向けられる数多の愛、そして行き先を見失ったかの様な高前自身の愛への葛藤……。繊細なタッチで描かれる、複雑な感情を己に問い続ける高前の姿と権謀術数渦巻く宮廷事情は、まるで歴史絵巻を見ているかのよう!儚くも切ない愛情表現が凝縮されたこの1冊を是非お手に取ってみてはいかがでしょうか。

恋に獣人もガチムチもオネエも関係なし!(キヅイタラ・フダンシー)

 今回、“最初に読むべきBL”として迷った末、敢えてこの作品、ながべさんによる『部長はオネエ』(茜新社)を紹介します!まずは表紙のインパクトをご覧ください!スタイリッシュなのに獣人×ガチムチ×オネエと濃ゆい要素満載。
 普段は優秀なサラリーマンの部長・ファルネイル(竜獣人)には実は秘密の顔があって(……ってもうタイトルで言っちゃってますが笑)、昼も夜も大活躍な彼が、部下・ダント(犬獣人)や取引先・ジョージ(鳥獣人)からアプローチされちゃって!?というドタバタラブコメディ。
 テンポよく展開するエピソードを重ねて部長が出す恋の結末は……と、物語も気になるところですが、僕のオススメポイントはサブキャラも含めて魅力的なキャラクターたち!そして、恋にあたふたする感情溢れる部長の表情!2人に翻弄されてコロコロと変わる部長の顔には思わず吹き出しちゃいます!

ながべ『部長はオネエ』(茜新社)より
ながべ『部長はオネエ』(茜新社)より

 性別も見た目も関係なく、人のことを好きになっていく……その過程は見守っているだけでほっこりしちゃう世界。BLというこだわりなく恋愛&ファンタジー漫画として読んでみてもすごく楽しい作品です。
 強烈な絵のタッチとは裏腹に、実はほとんど×××な描写もない本作、いきなり過激な作品はちょっと……という方でも安心ですよ♪

親戚のおばちゃん目線で見守る幸せ(貴腐人)

 弟が大好きすぎて“残念なイケメン”として扱われている直斗が、大学時代からの親友・藤堂に対してある勘違いをしたことから始まる物語、須坂紫那(すざか・しな)さんの『恋愛なんてゆるしません!』(新書館)
 自分の弟と親友・藤堂が付き合っていると思い込んで、「弟じゃなくても男なら誰でもいいんだろう」と食って掛ったところ、藤堂から「弟に手を出さない代わりにお前が付き合え」と冗談(でも本音交じり!)を言われ、「弟の代わりになる!」と宣言しちゃう天然さんの直斗。さすが“残念なイケメン”。
 これは、直斗に片思いの藤堂にしたらかなり辛い展開です……。うっかり手を出しかけて理性で押しとどまる……。いやー、よくとどまった、藤堂すごい!えらいよ、藤堂!
 話が進むにつれて、藤堂がどんどん気になってくる直斗と、直斗と一緒にいるのがどんどん辛くなる藤堂。このあたりのすれ違いがきゅんきゅんきます。

須坂紫那『恋愛なんてゆるしません!』より(©須坂紫那/新書館)
須坂紫那『恋愛なんてゆるしません!』より(©須坂紫那/新書館)

 天然さんな直斗に振り回され続けた藤堂が最後本懐を遂げた時、「よかったね、おめでとう~!」と親戚のおばちゃんの心境になります。
 この親戚のおばちゃんの心境がBLの醍醐味!自分の好きな人たちが紆余曲折ありながらもお互いを信頼し、成長していく、愛を育てていく……少し離れた位置から姪や甥や孫(?)を温かく見守る観察者になってこそ、味わえる幸せなのです。