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麿赤兒さんに第1回種田山頭火賞

麿赤兒さん

 自由律の句を編み続けた漂泊の俳人、種田山頭火(1882~1940)に通じる生き方を体現する人に贈る「種田山頭火賞」を、老舗出版社の春陽堂書店が創設した。出版不況が続く中、書籍文化復興への願いを込め第1回受賞者に舞踏家で俳優の麿赤兒(まろあかじ)さん(75)を選んだ。
 春陽堂書店は創業140年。泉鏡花『高野聖』や夏目漱石『草枕』を世に出し、72年発行の『定本 山頭火全集』は山頭火再評価への契機となった。山頭火は全てを捨てて行乞流転(ぎょうこつるてん)、庵(いおり)を結んだ後も酒に溺れ57歳で急逝。根強い人気で「昭和の芭蕉」とも呼ばれ、海外でも翻訳される。
 審査員は作家の嵐山光三郎さん(76)と国文学者の林望さん(69)。「小さいが特色ある出版社が減っていく。それでも頑張る出版社へのエールも込めた」と嵐山さん。林さんは「序列や権威とは無縁に、己の道を貫いて独自の立ち位置を築いた人をたたえる賞」と話す。
 受賞資格は「およそ1年以内に本を出版していること」。幼くして父を失い、母とも生き別れた麿さんは、極限まで追い込んだ心身から生み出す独自の舞踏で国内外を巡り昨年、『定本 麿赤兒自伝』(中公文庫)を刊行した。「俺にはまだ守るものがあり、山頭火のように何もかもは捨てられない。追いつけぬ山頭火の背中を見つめ、己の創造を尽くせよという十字架を背負って、生きますか」。受賞を機に「山頭火」が題材の新作舞踏を創作し、主宰する舞踏集団「大駱駝艦(だいらくだかん)」の公演で来秋、発表する予定だ。(西本ゆか)
=朝日新聞2018年9月26日掲載