書店で日本史の書棚を作る担当者に向けた参考書「人文書担当者のための日本史概説」を書いた。古代~現代の主な事象を解説しつつ、研究動向や代表的な研究者、書籍を紹介する。棚作りに役に立ちそうなポイントは太字で記した。
長年、「ジュンク堂書店」で人文書や法経書を担当してきた。出版点数が増え、書店ではシステム化が進むが、「それでは本の個性を生かす並べ方はできない」。若い担当者向けに書いた社内資料が編集者の目に留まり刊行に至った。
理想は「研究状況が鳥瞰(ちょうかん)できる棚」。入門書から専門書、古典までをつながりとして示したい。「玉石から『玉』を見極め、お客さんの好奇心をかき立てるのが書店員の役割であり、だいご味です」。昨年末、大阪高裁内ブックセンターに転職。法律書専門店だが、さりげなく刑罰史の本を置いている。
「日本史概説」は歴史書の出版社でつくる歴史書懇話会が2千部作成し、全国の書店に配布した。秋には書店員の研修テキストとして使われる。非売品のため、書店の棚の充実となって表れるのを乞うご期待。(久保智祥)=朝日新聞2018年9月26日掲載
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