講談社は、ネット上に投稿された小説のなかから編集者よりすぐりの作品を出版する「レジェンドノベルス」を創刊した。「小説家になろう」などのサイトで公開されている小説を読み、閲覧数やランキングによらず、「目利き」の編集者らが面白いと感じた作品を独自にピックアップ。毎月4冊ずつ刊行する。
創刊ラインナップは、遊んでいた戦略ゲームとそっくりな世界に入り込んだ大学生が主人公の「女王陛下の異世界戦略」(第616特別情報大隊・著)、ファンタジー世界の迷宮探索者をサポートする職業を描く「ダンジョン・シェルパ 迷宮道先案内人」(加茂セイ・著)など4作品。社外スタッフ2人が読んだ約4千作のうち、1割にあたる約400作から専属の編集者2人で厳選した。
共通する特徴は、ゲーム文化を背景にしていること。登場人物にはレベルが割り当てられ、魔法を使えばマジックポイント(MP)を消費するなど、ゲームのお約束やルールを前提に物語が進む。多くは現代人がファンタジー世界で生まれ変わって活躍する「異世界転生もの」だが、新味を競うことでジャンルが成熟してきているという。
「高校生の日常を描くことの多かったゼロ年代のライトノベルとは違い、キャラクターの魅力ではなくアイデアとストーリーの面白さが売り」と編集チームの唐木厚さん。膨大な作品群から版元のイチオシを出すことで、「ウェブで読んではいないけれど、本来的にゲームが好きな世代に幅広く届けたい」と話す。
いずれも本体1200円。(山崎聡)=朝日新聞2018年10月22日掲載
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