『サルと屋久島 ヤクザル調査隊とフィールドワーク』(旅するミシン店・1728円)は、表紙こそサルのイラストでほんわかした雰囲気だが、中身はアカデミックな野外調査の実態と、携わった学生の汗と青春を記した硬派な本だ。
ユネスコ世界自然遺産の屋久島で、30年にわたり野生のニホンザルの生態調査が続けられている。毎年、参加者の募集があり、これまでに研究者や大学生らのべ1364人が参加してきた。名付けて「ヤクザル調査隊」。その活動の歩みを調査隊事務局長の半谷吾郎・京都大霊長類研究所准教授とOBの松原始・東京大特任准教授がまとめた。
発端は農作物を荒らすサルの分布状況をつかむ目的だったが、長期にわたる調査は貴重なデータとして学会でも評価されている。しかしその裏には、炎天下の森に一日中座ってサルの出現を待つ忍耐や、台風の急襲によるドタバタなど幾多の苦労があった。決して楽ではないのに多くの若者を引き付けてきたのは、やはり大自然に触れる魅力ではなかろうか。(久田貴志子)=朝日新聞2019年1月19日掲載
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