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大宅壮一ノンフィクション賞に「選べなかった命」「八九六四」 賞の名称を戻し、読者賞は廃止

 新進作家の優れたノンフィクション作品を顕彰する、通称「大宅賞」の名称が、3年ぶりに「大宅壮一ノンフィクション賞」(日本文学振興会主催)に戻り、15日に受賞2作品が発表された。また、2年間続けてきた読者投票で最多の票を集めた作品に贈る読者賞は廃止となった。

 今年の受賞作は、河合香織著『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』(文芸春秋)と、安田峰俊著『八九六四 「天安門事件」は再び起きるか』(KADOKAWA)の2作品。

 「大宅賞」は一昨年、昨年と「大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション賞」の名称で実施した。主催者によると、「名称が長過ぎる」「覚えにくい」といった指摘が寄せられていたという。

 ノンフィクション読者の裾野を広げようとしたネット上での読者投票は、発行日が新しい作品に票が集まる傾向があったという。

 主催者は「賞の名称変更も読者投票も思ったほどの効果が得られなかった」として今回の措置を決めた。ただ、依然として「ノンフィクション冬の時代」という状況は改善されておらず、今後も試行錯誤が続きそうだ。(西秀治)=朝日新聞2019年5月29日掲載