生まれつき骨が弱い障害「骨形成不全症」で身長100センチ、体重20キロ。6歳の息子と4歳の娘は、ママに甘えたい時、車いすによじ登ってきて一緒にお散歩やお昼寝をする。
著者は生まれた時すでに両足が折れていた。おむつ替えなど日常のちょっとしたことで骨折し、子供の頃は数年おきに手術をした。一方、姉2人と分け隔てなく育ててくれた家族や近所の人のおかげで「障害がよくないと思わずに育ってこられた」。おしゃべり好きで、楽しいことは何でもやってみたい性格。中学の英語弁論大会で全国2位になり、大学で米国やデンマークに留学した。
それでも普通高校や、地元・沖縄から東京の大学への進学、結婚、出産と、人生の節目ごとに周りの反対にあった。義理の両親はとうとう結婚式に出席しなかった。しかしその都度、助けてくれる人を探し出して実現してきた。何があっても諦めない忍耐強さはどこから来るのだろうか。「みんなの言うことをうのみにしていたら、なんにもできないから、まずは自分でやってみて判断してきた」と言う。障害を抱えての妊娠・出産はリスクが高く診察してくれない産婦人科医もいた。越えてきた壁は本当に高かった。
子育ては約15人のヘルパーが支える。大学生、歌手、パティシエ……らが1日3人交代制のシフトで家事を手伝う。そんな毎日の体験や思いを、著者は新聞のコラムや講演で発信している。初の著書で伝えたかったことは? 「私が子育てしていると言うと絶句されることがある。障害のある人は、まさか子育てしてないだろうと思われているから。でも、やり方を見つければできるよ、ということを広めたい。特に障害に興味のない人、こわいと思っている人に読んでもらって、味方を増やしたい」(文・久田貴志子 写真・池永牧子)=朝日新聞2019年8月3日掲載