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“もしも”の世界が広がる5千万年後の地球 「アフターマン 人類滅亡後の動物の図鑑 児童書版」

『アフターマン 人類滅亡後の動物の図鑑 児童書版』/学研(Gakken)

 「生物学三大奇書」をご存知でしょうか? ハラルト・シュテュンプケ「鼻行類」、レオ・レオニ「平行植物」、ドゥーガル・ディクソン「アフターマン」の3つを指し、いずれも想像上の生物について論じています。

 今回取り上げる「アフターマン 人類滅亡後の動物の図鑑」は、そんな生物学三大奇書の一つに数えられる「アフターマン」を子ども向けに再編集したもの。人類が滅亡し、いまからおよそ5000万年後の地球では、どんな動物たちが生活をしているのか。スコットランドのサイエンスライターでイラストレーターでもあるディクソン氏が「進化の法則」に基づき、想像力を駆使して描いた空想図鑑です。ちなみに、地球環境に大きな変化はなく、気候帯や植物分布も同様と仮定して推測しています。ディティールまで描き込まれた緻密なイラストに加え、動物たちの生態が科学的根拠に基づいて論じられるので、まるでそれらの動物たちがリアルに存在するかのような説得力があります。

 筆者の個人的お気に入りは、山岳地帯に生息するという小型哺乳類のパラシュリュウ。本書によれば、巣立つ際に尾のパラシュート状に生えている毛を使って上昇気流に乗り、新たな住処へと移動する習性があるとのこと。飛行中の死亡率は高いものの、繁殖力の高さで種を維持しているのだそうです。着陸後はパラシュート状の毛は抜け落ちてしまうらしく、パラシュリュウの一生に一度の命をかけた飛行姿を見てみたくなります。

『アフターマン 人類滅亡後の動物の図鑑 児童書版』/学研(Gakken)

 摩訶不思議な生き物たちのイラストを眺めているだけでもワクワクしますが、巻末には生命の進化や地球上生命の歴史など学術的な解説もしっかりと収録。子どもも大人も知的探究心を刺激される一冊です。