ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が「千の言葉よりも多くを語る」と話し、「戦争がもたらすもの」というメッセージを添えて関係者に配布したという1枚の写真。今回の教皇来日でも注目を集めたのが「焼き場に立つ少年」です。
撮影したのは、アメリカの元従軍カメラマンのジョー・オダネル氏(1922~2007年)。原爆投下後の広島、長崎の惨状を私用カメラで非公式に撮ったもので、戦争の記憶とともにトランクの中に封印していました。戦後50年間公開されなかった写真57点を、オダネル氏の話とともに1冊にまとめたのが『トランクの中の日本 米従軍カメラマンの非公式記録』(小学館)です。刊行されたのは1995年ですが、「毎年8月になると2倍の増刷を続けているロングセラー。今年はローマ教皇の来日で4倍の注文がありました」と小学館の担当者。「核と戦争を考える」写真集として、いま再び脚光を浴びています。