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「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」結果発表会レポート 作家と子どもたちが交流する「ブックパーティ」を初開催

「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」とは?

 NPO法人こどもの本総選挙事務局主催「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」は、「すべてのこどもたちに、本と出会う喜びを」という思いから、小学生に「今まで読んだ中で一番好きな本」への投票を呼びかけ、選ばれた本のランキングを小学生とともに発表するイベントです。2017年から2年に1度のペースで開催され、今年で5回目を迎えました。過去4回の開催で、累計約70万人の小学生が投票に参加しています。

 第5回の投票期間は2025年5月5日から年9月8日までの約4カ月間。公式サイト応募フォームや投票用紙の郵送を通じて、全国の小学生から6万2546票が集まりました。結果発表会の当日は全国的に極寒の一日でしたが、粉雪の舞い散るなか、投票者の中から選ばれた「こどもプレゼンター」12名のほか、一般公募により選ばれた本好き小学生とその保護者約200名が観客として会場に集いました。

>第5回「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」ベスト10の作品一覧はこちら

根強い人気作が並ぶなか、韓国発の科学漫画が初のベスト10入り

 第10位には、『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』(作:廣嶋玲子 絵:jyajya 偕成社)が選ばれました。2013年の刊行以来、テレビアニメや舞台、ゲーム、アトラクション、実写映画など様々なメディアミックスでも話題となった読み物シリーズの1作目です。同作の主人公・紅子さんもお祝いに駆けつけ、会場を賑わせました。

偕成社の担当編集者・早坂寛さん(中央)、紅子さん(右)

銭天堂のお菓子にいろんな効果があったり副作用があったりする所が面白いです。 こどもプレゼンター(2年生)

 作者の廣嶋玲子さんからは、「第1巻を読んでくれていた子どもたちの中には、もう大人になっている人もいるでしょう。でも、今新たな読者が『銭天堂』を読み、推薦してくれています。次の節目となる20年目に向けて、これからもがんばります」とのメッセージが届きました。

【好書好日の記事から】

#39 憧れの「釣り鯛焼き」大物やレアものが釣れるかも? 廣嶋玲子さん「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」

 第9位には、カバヤ食品の人気玩具菓子「ほねほねザウルス」から生まれた冒険物語『ほねほねザウルス ティラノ・ベビーのぼうけん』(原案・監修:カバヤ食品株式会社 作・絵:ぐるーぷ・アンモナイツ 岩崎書店)が、前回に引き続きランクイン。ぐるーぷ・アンモナイツの今井修司さんと、ほねほねザウルス開発者のドクター・ヨッシーさんが登壇しました。

ティラノベビーたちが草原で競争するところが一番面白かったです。ベビーとお父さんが偶然洞窟で会ったところに驚きました。こどもプレゼンター(2年生)

 ドクター・ヨッシーさんは「ほねほねザウルスの本は再来年で20周年。大元となったおもちゃも来年25周年を迎えます。引き続き“ワクワクする!”“楽しい!”をお届けしたいと思いますので、よろしくお願いいたします」と今後の抱負を語りました。

 第8位に選ばれたのは、韓国発の爆笑科学漫画『つかめ!理科ダマン1 「科学のキホン」が身につく編』(作:シン・テフン 漫画:ナ・スンフン 訳:呉華順 マガジンハウス)。韓国から来日したシン・テフンさんとナ・スンフンさんに、兄弟のこどもプレゼンターから表彰状が渡されました。

作者のシン・テフンさん(中央上)とナ・スンフンさん(中央下)。ステージには同作の主人公で科学の天才シンの姿も

小さい頃から「理科ダマン」を読んでいたので、学校の理科の授業がとても楽しいです。こどもプレゼンター(4年生)
僕は実験や工作が大好きなので、いつかシンみたいにスペースシャトルを作って、太陽系を旅したいです。こどもプレゼンター(2年生)

 作者のシン・テフンさんは、「パパの気持ちと、子どもみたいなお茶目な心を全部混ぜて作りました。これからもそんな風に作るつもりです」と作品への思いを語りました。

【好書好日の記事から】

シン・テフン〈原作〉 ナ・スンフン〈漫画〉『つかめ!理科ダマン1 「科学のキホン」が身につく編』 学習マンガで科学の世界へ

 続く第7位には、既刊22巻となる人気児童文庫シリーズの1作目『四つ子ぐらし(1)ひみつの姉妹生活、スタート!」(作:ひのひまり 絵:佐倉おりこ KADOKAWA)が前回に続いてランクイン。

「四つ子ぐらし」は推理をしながら読むのが楽しいです。三風ちゃんたちもかわいくて大好きです。こどもプレゼンター(6年生)

 作者のひのひまりさんは、「『四つ子ぐらし』は、離れ離れだった四つ子が力を合わせて暮らすお話です。皆さんも自分の家族とどんなことで協力できるだろうと考えると、四つ子と同じように家族の絆が生まれると思います」と話しました。

ひのひまりさん(右)

 第6位に選ばれたのは、毎回ベスト10に入る人気作品『おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』(監修:今泉忠明 絵:下間文恵、徳永明子、かわむらふゆみ 高橋書店)。姉妹のこどもプレゼンターから、絵を担当された下間文恵さんに表彰状が贈られました。

この本の中で一番好きなのはムカシトカゲです。 こどもプレゼンター(3年生)
私はタマゴヘビです。シリーズ全部持っています。こどもプレゼンター(1年生)

 動物学者・今泉忠明さんからは「残念でもがんばって生きている生き物がいる。そのことに皆さんが興味を持ってくれてうれしいです。これからも“面白い”や“なんでだろう?”の気持ちを大切にしてほしいと思います」とのコメントが寄せられました。

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「ざんねんないきもの事典」シリーズ累計350万部突破 〝進化〟の結果に共感広がる

「大ピンチずかん」最新作が1位の栄光に

 第5位には、前回初めて8位に選ばれた『ドラゴン最強王図鑑』(監修:健部伸明 イラスト:なんばきび、七海ルシア Gakken)が再びランクイン。累計600万部突破の「最強王図鑑」シリーズの一冊で、トーナメント形式でドラゴンの最強を決定していく、小学生から熱い支持を集める人気作です。

パワーのグラフを見て想像しながら読むのが楽しかったです。この本をきっかけにドラゴンの歴史や伝説にも興味を持ちました。推しのドラゴンは応龍です。 こどもプレゼンター(4年生)

 Gakken編集者の目黒哲也さんは、前回から引き続いての受賞に「疑心が自信に変わりました」と喜びのコメント。「ドラゴンは昔から人間が作り上げてきた、創造の結晶。『ドラゴン最強王図鑑』は、そんなドラゴンたちが戦ったらどちらが強いんだろう、という“想像”と“創造”を掛け合わせて作りました」と作品にかける思いを語りました。

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 第4位に選ばれたのは、前回に引き続き『あるかしら書店』 (作:ヨシタケシンスケ ポプラ社)。「こんな本があったらいいな」が詰まった妄想書店を描くユーモラスな作品です。

『あるかしら書店』には本がたくさん出てきますが、「これは本なのか?」という内容の本もあって面白いです。 こどもプレゼンター(5年生)

 ヨシタケさんからは、「本って四角い紙の束なんですけど、いろんなことができるものなんです。今日ここにいる本好きな人の中には、将来本を作ることになる人もいるかもしれません。本好き同士という仲間で、『こういうのも本なんだよ』『こういう本もあったらいいと思わない?』と、いろいろな本を協力して作っていけたらいいなと思います」とコメントがありました。

ヨシタケシンスケさん(右)

 続く第3位には、昨年第6位の『パンどろぼう』(作:柴田ケイコ KADOKAWA)がランクアップ。2020年の刊行以来、主人公・パンどろぼうのどこか憎めないお茶目さが世代を超えて愛され、既刊7巻までで累計500万部を突破した人気作の第1巻です。

「パンどろぼう」シリーズの物語が続いていて楽しいから。こどもプレゼンター(1年生)

 作者の柴田さんからは、「『パンどろぼう』や他の絵本をきっかけに、想像すること、日々の楽しさ、ワクワクを感じとれる心の豊かな人に成長してくれるといいなと思っています。そして、パンどろぼうというキャラクターのことを、何十年か先、大きくなってからも覚えてくれているとうれしいなと思います」というメッセージが届きました。

【好書好日の記事から】

柴田ケイコ「パンどろぼう」 「まずい」の顔で人気者に

 第2位に『りんごかもしれない』(作:ヨシタケシンスケ ブロンズ新社)が発表されると、会場に大きな拍手が起こりました。テーブルの上のりんごをきっかけに様々な考えを巡らせる発想絵本で、ヨシタケシンスケさんの絵本デビュー作となった一冊です。

幼稚園の頃から何度も読んでいる、とっても大好きな絵本です。お気に入りは「りんごのきょうだい」のページで、家族みんなで考えて、誰が一番面白いかを言い合ったりしています。こどもプレゼンター(5年生)

『あるかしら書店』に続いて二度目の登壇となったヨシタケさんは、「僕がこの本を描いたのは40歳のとき。それまでは自分が絵本作家になるなんて思いもしませんでした。人生は何歳で何が起こるかわからないので、『かもしれない』をいろいろ使いながら、たくましく、しなやかに大きくなってくれるといいなと思います」と子どもたちへのエールを送りました。

【好書好日の記事から】

ヨシタケシンスケさんの絵本「りんごかもしれない」 自分が小さい頃に悩んでいたことをいっぱい言いたい

 総投票数6万2546票から選ばれた映えある第1位は、累計270万部突破の人気シリーズの第3巻『大ピンチずかん3』(作:鈴木のりたけ 小学館)。タイトルが発表されると、大きな歓声と拍手が巻き起こりました。「大ピンチずかん」は、子どもたちの身の回りで起こる大ピンチを図鑑形式でユーモアたっぷりに紹介するシリーズ。前回初めて第1巻で3位に入賞、今年は昨年刊行された最新作で1位に輝きました。

『大ピンチずかん』を読んでいれば、大ピンチが起きても乗り越えられます。それに、読んでもとても面白いです。こどもプレゼンター(2年生)

 富山県から来たこどもプレゼンターから表彰状を受けとると、鈴木のりたけさんは「富山から来るのは大変。遠方からありがとうございます」と感謝の思いを伝えました。さらに「大ピンチはまだまだ日々たくさん起こります。4作目も描けそうなので、皆さん期待していてください」と、続編制作への意欲を語りました。 

鈴木のりたけさん(右)

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スペシャルイベントで小学生と著者が交流

 結果発表会の後は、“こどもの本”総選挙初の試みとしてスペシャルイベント「ブックパーティ」が開催されました。

 前半は、著者を交えてのクイズ大会。「“こどもの本”総選挙のWEBサイトには、投票の結果トップ何冊目までの本が載っているでしょうか」(答えは1000冊)といった本にまつわる四択問題が出題され、成績上位者10名に参加著者全員のサインが入った色紙がプレゼントされました。

 後半は、子どもたちが著者に直接質問をするトークイベント。「本を作っているとき、先生自身もドキドキしたり、悲しくなったりしますか」という小学生からの質問に、ヨシタケシンスケさんは「何をしているときに一番ドキドキしたり一番落ち込んだりするかは、人によって様々だと思います。たとえば、サッカーをしているときに一番ドキドキする、サッカーで失敗したときが一番悲しい、という人はサッカー選手になったりするし、お話を考えたり、絵を描いたりするときに一番ドキドキするという人は作家になっていると思うんですね。皆さんもぜひ自分の“ドキドキ”を探してみてください」と答えました。

 最後に事務局長の岡本大さんより「今日聞いたいろいろな話や、これから読む本も含めて、どんな大人になっていきたいかを考えるきっかけにしてくれたらうれしいです。これからもたくさん本を読んで、楽しんでほしいなと思います」と挨拶があり、和やかな雰囲気のなかイベントが幕を閉じました。

第5回「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」ベスト10

  • 1位 「大ピンチずかん3」(作:鈴木のりたけ 小学館 2025年)
  • 2位 「りんごかもしれない」(作:ヨシタケシンスケ ブロンズ新社 2013年)
  • 3位 「パンどろぼう」(作:柴田ケイコ KADOKAWA 2020年)
  • 4位 「あるかしら書店」 (作:ヨシタケシンスケ ポプラ社 2017年)
  • 5位 「ドラゴン最強王図鑑」(監修:健部伸明 イラスト:なんばきび、七海ルシア Gakken 2022年)
  • 6位 「おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典」(監修:今泉忠明 絵:下間文恵、徳永明子、かわむらふゆみ 高橋書店 2016年)
  • 7位 「四つ子ぐらし①ひみつの姉妹生活、スタート!」 (作:ひのひまり 絵:佐倉おりこ KADOKAWA 2018年)
  • 8位 「つかめ!理科ダマン 1 「科学のキホン」が身につく編」(作:シン・テフン マンガ:ナ・スンフン 訳:呉 華順 マガジンハウス 2021年)
  • 9位 「ほねほねザウルスーティラノ・ベビーのぼうけん」(作・絵:ぐるーぷ・アンモナイツ 岩崎書店 2008年)
  • 10位 「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」(作:廣嶋玲子 絵:jyajya 偕成社 2013年)

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